(参考)所感とは?
◆所感ってなに?
実験・実習のレポートにおける「所感」とは,「良かった」「悪かった」「楽しかった」と言った,ただの感想ではない.
所感とは,結果論ではなく,プロセスの言葉である.課題に取り組む中で,特に強く感じたこと,ふと気づいたこと,もしかして…… と思いついたこと,などである.
例:課題のプログラムを書いている時の思考プロセス.
不明な点:ifの使い方がわからない
起きていること:エラーメッセージXXXがなくならない
克服:インデントが対応していなかった
今後の注意:インデントに十分留意する
例:今回の課題は完成できなかった.このことについての所感.
ボトルネック1:◎◎の部分を考えるのに時間がかかりすぎて他ができなかった
ボトルネック2:キーボード入力が遅く,間違いが多い
今後の改善:作れる部分は先に作っておく,タッチタイピングの練習をする
このように,取り組んでいく過程の具体的な状況に対して自分が感じ,考えたことをマメにメモしておく.◀◀ 記憶だけ頼るのは非常に危険
レポートではそれを整理して,分析しつつ自分の実感したことを述べる.
今後の改善点,注意点が言えればさらにベター.
◆なぜ所感を書く?
なぜ所感を書いてもらうのかというと,実験や実習,あるいは研究開発・ものづくりにおいて, そのプロセスのさ中にいる人にしか感じ得ないことがあるからである.
それは唯一無二,その人にしか得られない情報である.その人が言葉にして記録しなければだれも知られずに永遠に埋もれてしまう.
※自分自身に対しても同様で,人は翌日になれば50%の記憶をなくすという
研究や開発での発見や知見というものは,ひとつひつの細かく地味なプロセスの中で,当事者がわずかに感じた事や引っかかった事を丁寧に記録し,さらに丁寧に検討を積み重ねていった結果として,見いだされるものだ.
大げさに聞こえるかもしれないが,今から2年後には研究活動の世界に入る皆さんには,自分の頭の中のつぶやきや心の言葉やその瞬間の違和感を大切にし,それを逃さずに外化して記録し,整理し,他人と共有・交換して検討し合うことを習慣にしてほしい.
ひとつのメモに記されるのは他愛ない言葉かも知れないが,それは,これからの長い知的生活を支え,いつか実を結ぶ大きな喜びにつながる小さな種だと信じてほしい.
以上.
2023/7/5