(参考)ターミナルとコンソール
◎パイプオルガンの演奏台
かつて,コンピュータが大型で,専門のオペレータしか操作できなかった時代,操作盤は「コンソール」と呼ばれていた.
元来 「コンソール」 とは,パイプオルガンの演奏台のことだ.
大規模な電子システムの「制御盤」は巨大で,オルガンの演奏台に似ているということだろう.
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左:パイプオルガンの演奏台, 右:リレー式計算機 ETL MarkIIの制御卓
初期(1950年代)のコンソールは様々なスイッチ類はついていたものの,プログラミングについては,コンピュータと直接やりとりするのではなく,パンチカードや紙テープにプログラムを打ち込み,それを読み込ませてプログラムを実行していた.
◎シリアル通信の「端末」誕生
少し時代が下ると(1970年代),ブラウン管とキーボードが一体となったVDT(Video Display Terminal: ビデオ表示端末)がコンピュータ本体とシリアル通信線で接続されるようになった.
これは,コンピュータシステムとしてはコンソールだが,通信系としては「端末」となる.
さらに,メインコンソールだけでは高価なコンピュータの利用効率が悪いため,入力専用のシリアル端末を複数――ときには数百台設置し,コンピュータの計算を時間単位で分割して作業するシステムが誕生した(Time Sharing Systm:TSS).この入力端末が「端末=ターミナル」の語源である.
◎今のPCでのコンソールは必要?
現在のコンピュータにおいてはコンソール(本体に直接接続)もターミナル(通信線で接続)も,本物はほとんど見ることがない.
どのOSもGUIが装備されているので,多くの業務は何らかのGUIソフトを使うことで実現できる.
しかし実は,殆どのOSにおいて,ウィンドウシステムが起動する前の段階で,CUIで操作するモードが残されている.
これはシステムの根幹に関わる操作が必要な状況,すなわちかなり重大なシステムトラブルの際,高精細ディスプレイが使えず,ウィンドウシステムが起動しなくても, コマンドベースで対応することが可能だからだ.
◎巨大ネットワークシステムではCUIターミナルが常識
特に,Unix系のOSはCUIだけで操作される場合が多い. それは大規模なストレージシステムやネットワークシステムのバックボーン(裏方)として, サーバやブリッジ,コントローラとしてUnixが稼働するケースが多く, この場合,エンドユーザが利用するようなGUIは省かれるからである.
ただし,今では本来の大型制御盤としての「コンソール」は存在しない. 多くの場合,シリアル回線またはEthernet回線で接続されたPCを「端末」として利用する.
また,現在ではシステムの上流管理はWeb I/F(インタフェース)で操作できることが多い.
しかし,システム内部に分け入って操作するにはやはりCUI端末でアクセスすることになる.
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Google社のサーバルーム(2014年)
◎PCで使える「端末」「コンソール」
本来の入力端末はウィンドウシステムのないCUIのみだが,実際の業務では端末以外の業務も同じPCでこなす必要がある.
その時にはウィンドウシステムの中で,端末をそっくり真似た(エミュレートした)端末ツールを利用する.
これが,ターミナルエミュレータ――通称「ターミナル」である.
WSLのUbuntuは起動したらコンソールが立ち上がるが,Windowsの中の一つのウィンドウになるという意味では,ターミナルエミュレータだと言える.
MacOSのターミナルも同様に端末エミュレータである.
また,Windows自身も「Windows Terminal」を持っていて,WindowsコマンドシェルやPower Shell,あるいはインストールされたUbuntuなどをタブ画面として切り替えながら使うことができる.★藤井的にはかなりお勧め.Windowsのデフォルトターミナルに設定してもよいだろう.
※Winキー → "wt"で検索すると出てくる.出てこなければインストールしよう
2022/6/9