(参考)キーボード練習
◆社会では必須のスキル
キーボードはコンピュータを利用する限り,なくてはならないインタフェースである. タッチタイピング( 手元を見ずに文字を打つこと )ができる人とできない人では, どんな仕事でも生産性がまったく変わってくる.
スマホ全盛の昨今ではキーボード離れが危惧されている. 会社ではさすがに全部スマホで仕事をするわけにはいかない.
タッチタイプは社会では当然のスキルとなっている.
本実習ではタイピング練習のために教材を用意することもないし,課題も出さない.実習でやり方を紹介しても時間が限られる.
本実習以外に少しの時間でも余裕があれば,タイピング練習するとこを奨励する.
◆上達の5ステップ
人により現時点でのスキルレベルは異なるので,レベルごとにステップを示してみる.
※必ずしも以下のステップに従う必要はないが「理系に英文は必須」は忘れてはならない.
◎ステップ1. キーの位置,指の動かし方を覚える
まずホームポジションとキーと指の割当を覚える.コツは以下の通り.
a. ホームポジション( 特にJとFの位置 )を覚える
→ これは絶対!J/Fにはキートップに"ポッチ"が付いている!
b. なにかキーを押したらかならず一度,ホームポジションに帰ってくること
c. なにかキーを押す時には人差指( 右J/左F )または小指( 右;/左A )のどちらかがつねに キートップに軽く触れていること
d. 場所をある程度覚えたら,手にハンカチをかけるなど,手元が絶対に見えないようにして練習する
下のリンク集等から「初心者向け」のコンテンツをやる.
※ここでは頑張ろう.この段階で手元を見てしまったら上達しない
◎ステップ2. 英単語や英文を打つ
このステップから実際に文章を打って練習する.
文章の題材には「英文」「ローマ字入力」「かな入力」があるが,ステップ2としてはまず,半角英数字で英単語や英文を打とう.
理由は簡単.
1. 理系はプログラミングや論文で英語を必ず扱うから ← 英語からは逃げられない
2. 一通り英文,記号,数字を打てるようになっておくべし.そうすれば一部の英字しか使わないローマ字入力は楽勝だ.逆にローマ字だと覚えるのは楽(最小23文字)だが,それだけしか覚えていないと,数字や記号が出てきたら途端に効率が悪くなる.それなら最初から全部のキーを覚えて使えるようになっておくほうがよい
ただし,英語は意味が不明だと苦痛なので,日本語訳もついているものが良い.
ゲーム要素のあるサイトもある.楽しくできれば上達が早い
第1目標は間違えずに50word/分または100打/分または1.6打/秒
※計算機実習Iと計算機実習2で学ぶPythonを選ぶとよい
※この時も,手を見てしまう人はハンカチ等を使って遮蔽する.
← 手元を見る癖は完全に撲滅しないと,仕事の効率が上がらない
◎ステップ3. 日本語のかな練習
日本語の入力にはローマ字入力とかな入力があるが,まず最初はローマ字から始めることをおすすめする.
※かな入力はアルファベットとは別にかなのキー配置を覚える必要があることと,小文字などにシフトキーを多用するので,少しハードルが高い.
しかし覚えたら思考に近い打鍵ができる(頭でローマ字に置き換えなくていい)のがかな入力のメリット.入力効率はローマ字の1.5倍くらいにはなる.
ちなみに藤井と植村先生はかな入力派.小堀先生はローマ字派
ローマ字の練習はゲーム的なものも多いので,いろいろ試してみるとよいだろう.
◎ステップ4. 日本語かな漢字まじり文
かなだけの練習が進めば,漢字かな交じり――つまり普通の日本語を練習する.
日本語は漢字変換があるので,変換のない英語やヨーロッパ言語に比べると入力効率が落ちる.漢字変換はどれだけ適切な漢字にたどり着くかが問題.
※200字/分打てる人でも漢字が交じると100字/分に届かないことが多い.
※文章が医療系に偏っているが,練習にはなる.
日本語だけの文に慣れたら,半角英数字の混ざった理系の論説文などにチャレンジしてみよう.
◎ステップ5. あとは実践あるのみ
練習としては3種類をおすすめする.
1. 日本語長文:小説,漫画のセリフ,歌の歌詞,新聞や雑誌の記事,技術書,理系の教科書など,興味がある題材であればなんでも.
※著作権が切れた文学作品が収納されている
※自分が好きな作品・作家を検索して入力する
2. 英語長文: 英語の小説はさすがにハードルが高いだろう.それよりもWikipediaなどの解説書を手本にすると良い.また,好きな海外バンドの歌詞などで練習するのもいいだろう.
3. プログラミング文: プログラミングはほぼ英語.だがプログラミングは{}や()など記号が多く,またプログラミング言語によって使われる単語が異なる.上でも紹介したが,▼▼ がおすすめ.
※タイピングの訓練サイトやフリーのタイピングソフトなどは多数ある → 検索して自習するべし
◆目標
タイピングのスキルなどは「どこまでやればいいのか」がわからないと思う.とりあえずは,以下の3つを目標にすればよいだろう.
目標( 1 ) ゆっくりでも手を見ずに間違えずに打鍵できる.早さよりも正確さ!
目標( 2 ) 間違えずに100字/分を目指す.これでたいていの仕事はこなせる.ただし早くても間違えたら意味がない!
目標( 3 ) 最終は間違えずに200字/分.自分の考えを自然に書き出せる.これ以上のスピードはほとんど必要ない.
◆タイピング上達の絶対条件
上記にタイピングのステップを述べたが,特に以下が絶対条件といってもよいだろう.面倒かもしれないが,これらを守って楽しく頑張ってほしい.
条件1. 手元を見ない!! ← これも絶対!
※場所を完全に覚えるまでは 何度でも手にハンカチやタオルをかけてやる.
条件2. 2週間 毎日やる! ある程度慣れたらあとは集中と根気.
時々やるのではなく毎日集中して練習する方が絶対によい.
← 自転車に乗るのと同じ.人によって到達できるレベルもそれにかかる時間も違うが,できてしまえばなんということはなくなる.
目安として2週間あれば目標(2)は達成できる.だまされたと思って,1日1~2時間,忙しくても30分程度時間を作って,集中してやりぬこう!
条件3. 楽しむ! 楽しくないと続かない!やりたくなくなる!
タイピングゲームがあるし,まじめ?な文や単語だけのタイピングアプリでも,新記録達成できるとうれしい.エモーショナルなエネルギーを保ってやるのがスキル上達の王道.
【参考URL】
10ステップタイピング (YouTube):(1)から(10)までステップを刻んだYouTube動画. 動画を見ながら初歩の初歩から練習できる.おすすめ. https://youtu.be/gNsy24AgVX8
e-typing( インターネットでタイピング練習 ) :Webでタイピングの練習ができるサイト.ジャンルも様々で,ビジネスから百人一首,日本の景観なんていうのもある.英文もローマ字も,まずは「腕試しレベルチェック」で自分のレベルを確かめるとよいだろう.ここでのスコアを自分のタイピングレベルの基準に考えるよいだろう. タイピング練習広場:タイピングのコツを解説したらタイピングソフトを紹介している総合サイト. ※練習コーナは入力中にフリーズするので注意
寿司打:寿司が流れてくるうちにタイプするというゲーム.単純だが結構ハマる.ローマ字専用. 毎日パソコン入力コンクール:6月・秋季に開催される日本最大規模のキーボードコンクール. 優秀者は12月の全国大会に出場できる.受検者は能力に応じて級位判定される. ネット環境があればどこからでも受験が可能. ★さらなる工夫:単語登録
これはタイビングそのものではないが,入力の効率化という意味で紹介しておく.
日本語入力にはIMEという入力システムを介して入力 → 変換 → 確定する.
IMEはWindows標準だと「MS IME」,MacOS標準は「日本語IM(旧ことえり)」だが,他にも多く存在する.
多くのOSで利用可能な「Google日本語入力」は複数のOSを使い分ける人には人気.有料だが国産の老舗 ジャストシステムの「ATOK」も聞いたことがあるだろう.
MacOSは選択肢が少ないが「ATOK」「かわせみ」が有名.
LinuxだとWnnやCanna,SKKなどが挙げられる.
さて,IMEによる日本語変換の際には参照される辞書がある.システム辞書は書き換え不可能だが,自由に追加編集が可能なユーザ辞書を作成することができる.(どのIMEでも可能)
辞書登録といえば氏名や地名,学校名などの固有名詞が利用されるが,これらは登録単語を工夫することによって大幅な効率が可能になる.
それは「短縮登録」である.
例:「龍谷大学先端理工学部電子情報通信課程」は長大な漢字の連続.これを,「りこでし」という読みで登録すると,32文字 → 4文字になり,すごく短縮できる.
例:「滋賀県大津市瀬田大江町横谷1-5」なども「じゅうしょ1」として登録する.
※なぜ「じゅうしょ」としないのかというと,他にも候補がでてきてしまうから.
※これはローマ字入力の場合.かな入力の場合は番号は面倒なので例えば「じゅうしょぬ」などにする(「ぬ」は数字の「1」と同じキー)
半角英数字も登録できる.
例:「080-1234-5678」 → 「でんわ1」
例:「fujii.daisuke@elec.ryukoku.ac.jp」 → 「めーる1」
固有名詞だけでなく,よく使う文章も登録する.
例:「ありがとうございます.」 → 「ありす」
例:「お世話になります.」 → 「おせす」
例:「様,いつもお世話になっています.」 → 「さますん」
※「さます」は「覚ます/冷ます」とぶつかるので「ん」を追加
例:「電子情報通信課程の藤井大輔です.」 → 「でしす」
登録のコツは,
1. 「他の一般単語とぶつからない読みにすること」.他の候補とぶつかると選択肢を選ぶ手間が増える.
例:「かん」は単独で非常に多く候補が出る. → 「かんん」にすればぶつかることはない.
2. 一定のルールを設けておくこと.上の例では「~です.」で終わる文は短縮読みも「す」で終わるようにする.ただし,他の単語とぶつかるようなら「ん」を付け加えるなど,自分なりのルールを作る.そうしないと短縮読みそのものを思い出せなくなる.
※タイピングコンテストの猛者たちは自分独自の最短パターンをたくさん登録して臨んでいる.
以上.
2023/6/6