90.Z 解題:本実験のねらい
この章は,実験を終えての解題として,本実験で学んでほしい目的やポイントについて,改めて述べておく.
■ 目的
(A) データ通信の基礎を理解する
シリアル接続によるコンピュータ間通信
※調歩同期方式/文字符号伝送
条件を整えて通信を成立させる
通信信号の電気的観測 (オシロスコープ)
通信データの論理的観測 (ラインモニタ)
(B) サーバ上で Unix コマンドを使う
login と logout
基本コマンド: ls, pwd, cd, vi
端末関連コマンド:tty, stty, hostname, whoami
(実験用) 文字創出コマンド:send1, sendchars
その他標準出力するコマンド:ps, limit, id 等
(C) 測定機器に慣れる
オシロスコープ
ラインモニタ (ロジックアナライザ)
計測時の注意事項†140
※140. 誤差,有効数字,計測系と被計測系
の理解など
(D) 実験科学的思考・技術を訓練する
グループワークによる問題解決
実験的アプローチの理解
記録データの整理,結果,評価,考察 ⇒ 報告書
※表・グラフの書き方,結果の解説.
考察は単に「よかった/悪かった」ではない
■ サブテーマと進行の目安
実験の進行は,ゴールの把握から始まる.グループ全員がゴールを把握し,そのためにやるべきこと,やったほうがいいだろうことを,共有できているかが重要.
いまさらだが,スムーズにいけば,以下のような進行になるだろう.
(1) (1 週目) テーマ 1「シリアル通信の成立と通信条件の解明」
1. 条件不明のラインにシリアル接続し通信を成立させる
2. 通信条件の探索方法を検討
3. 成立したらその時の状況を記録
4. 次のテーマの準備・進行
※大切なのは,条件・測定のひとつひとつの意味を理解すること.
(2) (1~2 週目) 課題2: シリアル通信の確認:データ観測と記録
前テーマの条件通りに通信されていることを証明する.
観測装置は 2 種類:
1. オシロスコープで観測
2. ラインモニタで記録観測
※ ⇒ 本報告書の提出
※大切なのは,なぜオシロなのか,なぜラインモニタを使うのかを理解すること.
(3) (2週目:) 課題3:再観測,課題4:思考実験
1. 通信信号・データを再測定
2. 課題4の思考実験を検討
※大切なのは,再測定を,前回よりも精度良くすること.必要に応じて何度でもやる.
(4) (3週目:1,2組のみ) レポート指導・レポート改訂
1. レポート提出後,manabaコメントを確認
2. レポート指導があればよく聞き改善点・方法を確認
3. レポート指導がなくてもコメントを読み改訂 → 再提出
■ 知識
予備知識を学習する時間は実験時間には含まれない.
不足している知識は実験中に補いつつ進めるしかない.
この実験はグループで進めるので,素早く知識を調査して共有することは,進行の要になる.
「習ってない」「調べてない」 → ならばどうする?
グループに理解できていない人がいる → この場合はどうする?
これらはグループでよく話し合い,適切に分担し,共有しあうことが非常に重要になってくる.
各自,必要な予備知識を整理しておき,グループで持ち寄るとよい.
知識は,例えば次のように整理することが可能だろう.
通信に関して: シリアル伝送,調歩同期,JIS X5101(RS--232--C) 規格,JIS コード,伝送速度と通信条件
実験に関して: オシロスコープ,ラインモニタ,Unix コマンド,Tera Term
理論的説明は本実験書では不十分なので,関連資料・参考文献も参照にすること.
2023/9/18