70.B JIS X5101 インタフェース
シリアル伝送規格である JIS X5101 インタフェースについて以下にまとめた.
■ JIS X5101 とは
JIS X5101 は一般には”RS-232-C”の名前で知られている
※国際的な規格名称としては EIA RS-232-C,EIA 232-D,ITU-T 勧告 V.24 とも呼ばれる.
JIS X5101 は DTE--DCE 間の物理インタフェースの仕様を,以下の 3 点について定めた日本国内工業規格である.それぞれ対応する国際規格がある.
A. コネクタの物理形状とピンの配列:ISO 2110
B. 接続回路:ITU-T V.24
C. 電気的特性:ITU-T V.28
■ X5101 のピン番号と接続回路
RS-232-C は規格上 25 本の回線をもち,接続ピンは 1~25 番である.
このうち,本実験で用いるような非同期通信によく適用される主なピンの略号と相互接続回路名称を表 B.1 に示す.
※参照:文献13, pp.1--4
各回路の機能は回路名称から自明である.
※実験では表 B.1 の太字の回線を使用する
表 70.B-1 JIS X5101(25pin) の主な相互接続回路名称
https://gyazo.com/65e4622be64ec54430e580787b016813
■ 9 ピンコネクタの接続回路
上記では X5101 の 25pin 規格の回路を紹介した.
現在,一般的な PC のシリアルポートは 9ピンコネクタが使われる.
これは,PCのコネクタの種類の増加に伴い,よりコンパクトなコネクタが求められた結果である.
通常のプロトコルで使用する回線数は少ないので9回路でも実用に耐え得る.
※従来はコンピュータといえばシリアルポートは必ずあるものだったが,近年はノート型 PC や小型デスクトップではシリアルポートを持たないものが多い.
今回実験で使用するのもすべて 9 ピンコネクタである.
https://gyazo.com/77a6fd425128de3a80a09586bca11d2c
図70.B-1 シリアル用9pinコネクタの配置
https://gyazo.com/c34bfe0246e78a3d0a1e6db8e43db547
図70.B-2 9pinコネクタの回路名称
※留意すべきなのは,GND が#5,SD が#3,RD が#2 ということ.
※25pin とは SD と RD が入れ替わっている
■ 電気特性の規定
X5101 では信号の識別について以下のように定めている.
※9ピンコネクタでもこの規定は同じ
A. 信号の +3V 以上をデータ信号の’0’ (タイミングおよび制御信号のオフ)
B. −3V 以下をデータ信号の’1’ (タイミングおよび制御信号のオン)
このように,信号の ON--OFF と信号電圧の正--負を逆転させて信号を伝送することを「負論理伝送」といい,通信回路実装の原則として,広く使われている.
☆☆注意☆☆
負論理伝送信号を観測・計測した場合,見た目が正負逆に見える.
しかしこれを「論理が逆転している」と理解してはならない.
逆転しているのは電位であって,論理ではない.
負論理はあくまでも 0 判定を正電位,1 判定を負電位で行うだけの規定であり,論理に逆転は生じていない.
2023/9/17