小さな黒い箱
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ハヤカワ文庫SF・短篇集『小さな黒い箱』収録
概要
『アンドロイド〜』に登場する架空の宗教、マーサー教に焦点を当てた作品。
題名にもある“小さな黒い箱”とは、箱の取手を握ることでマーサーの思考や苦痛を共有できる宗教的ガジェット。
おすすめポイント
神への執着を感じさせる奇妙な作品
長篇『ヴァリス』『ティモシー・アーチャーの三つの聖痕』に代表される通り、ディックは次第に神や神秘体験に憑かれて多様な妄想を繰り広げるようになります。 この作品は、そんなディックの神への執着を強く感じさせる短篇です。のちの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』の元になった短篇で、『アンドロイド』作中の宗教に関する描写の抜粋のような作品になっています。 短篇集の解説にもある通り、マーサー教はキリスト教の、小さな黒い箱は教会の代替品のようなはたらきをしており、ディックの神学思想をうかがわせる内容になっています。ぜいたくを言うなら、この方面を真面目に考えた作品をもっと読みたかった、というところでしょうか。
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