ヘルムホルツの無意識的推論
ドイツの物理学者で生理学者のヘルマン・ヘルムホルツが「知覚とは無意識的推論である」と言ったのだが、その意味はざっと次のようなことである。知覚とは、私たちが光や音として外環境から受け取った刺激を自分の感覚として意識的に感じることである。一般に「推論」や「推理」というと意識の上で論理的に考えて答えを探すことのように思いがちだが、知覚が得られるまでの過程は、そのような意識的な推論ではなく、いま述べた知覚の例のように意識の上らない処理過程であり、この処理過程が推論であるというのである。