人事の組み立て〜脱日本型雇用のトリセツ〜
海老原嗣夫 日経BP
例えばジョブ型雇用と終身雇用
日本型の雇用を変えないといけない、という考えが蔓延しているが、変わってない
雇用システム、人事を理解するべき
ジョブ型とは
日本では、同じポストにいても習熟、その人のスキル(例えば勤続年数)の違いで給与は異なる。職能等級には定員がない。恣意的にポストの増減が可能。
欧米の職務主義は、同じポストなら同じ給与。勤続年数とか関係なく、昇給には職務ポジションのアップが必要。定員がある。ポストがいっぱいだから出世できない→いいポストへ転職
日本は人に仕事を付ける、欧米は仕事に人を付ける。
日本において、成果主義は管理職以上(ポスト数に制限あり)、一般社員は職能主義のまま。
日本の場合、人事権が好き勝手に使える→ポストに合わないなら、社内でできる仕事を見つければいい→解雇が難しい
人事権と解雇権はトレードオフ
ジョブ型とは
×ジョブディスクリプションでタスクを細かく規定してある
◯ポスト限定雇用であり、企業に一方的な人事権はない
日本はポスト無限定雇用
新人がなぜ育成されるか
職務が決まってないので簡単なものを寄せ集めて慣れたら難しいものに入れ替える、企業が人事権を持っているので成長に合わせてポストに異動させられる。キャリアの無限階段。将来もっと上の仕事に就いてもらおうと思うので、部長クラスの中途正規採用が難しくなる。使用者側も労働者側も年功カーブ前提。
欧米は自律的キャリア形成が必要になる。その仕事をこなしさえすればよい。
アメリカでは、学歴×職業資格でキャリアの幅(職務内容と給与)が狭く決まるので、一般ジョブワーカーは一生賃金も変わらず「籠の鳥」と呼ばれる。
欧米のジョブ型には、やる気のある人が職業訓練でジョブ間の敷居を越えるか、一部のエリートがテニュアコースを超スピードで駆け上がるか。
エリートと一般ジョブワーカーの階級分化が起きている。
エリートはワークライフチョイスでマルチファンクション・マルチリージョン・マルチジョブ、一般は同じ仕事をしていて熟練度と倦怠感も高まり労働時間が短くWLBを持ち慎ましい生活。どうせ出世しないんだから転職も休職も休暇もとるぜの精神
ポスト管理か人材管理か
「誰もが階段を上る」日本型雇用とWFC(ワークファミリーコンフリクト)をどう収束させていくか
ワークライフバランス問題
ブラック問題
非正規問題
女性問題
ミドル/シニア問題
ワークライフバランス/ブラック問題
長時間労働の原因は、顧客と上司からの要望で仕事が多すぎるから。昇進昇給が関わるので上司の評価を気にすることになる。欧州では会社横断の職業別の組合によって、守られ、全企業で足並みが揃っている→長時間労働で顧客が他社に取られるのを防ぐことはない。アメリカでは訴訟社会で違法残業を防いでいる。
顧客の要望に真面目に向き合うほど、生産性は下がる
非正規雇用問題
無期限雇用は解雇しにくい。会社が人事権を持っているので、他のポストにつけてあげればいいのにってなる。
ポスト限定のジョブ型社員を雇い、解雇手続きルールを作ることで、整理解雇を行えば、有期雇用社員は不要
大黒柱である父親を守るために、非正規雇用が低賃金でもよかった
同一労働同一賃金原則を謳うと、欧州のエリートと一般労働者との格差は「違う仕事なのだから」という正当化になり、一生ほぼ同じ給与なのは「同じ仕事をしているのだから同じ賃金」と正当化され、結果的に「籠の鳥」を作る論理にもなりうる
垂直分離、水平分離
水平分離:職務領域によって、部門で正規と非正規を分ける
垂直分離:職務難易度によって、職務(ポスト)で正規と非正規を分ける