ジョナサン・アイブ
この大部屋こそ、アップルで開発中のもの、すべてを一覧できる場所です。スティーブは、あのテーブルに座ります。たとえば新しいiPhoneを開発しているときなら、スツールに座っていろいろなモデルを次々と手に取って感触を確かめ、どれが気に入ったかコメントするのです。ほかのテーブルも、私とふたりでざっと見て歩き、ほかの製品がどうなっているのかを確認します。 ここなら、iPhoneにiPad、iMacにノートブックなど、アップルが検討中の製品すべてが見わたせます。そうやってスティーブは、会社がどこにエネルギーを集中しているのか、また、どことどこがどうつながっているのかを把握するのです。そして、「あっちが伸びている状態でこっちをやる意味はあるのかい?」などと聞くわけです。彼はいろいろなものを関係性で把握するのですが、会社が大きくなるとそうするのはとても難しくなります。ここのテーブルにモデルを並べて一覧することで、スティーブは3年先の未来を見るのです。