「プラットフォームの教科書」に関するメモ
プラットフォームの教科書 超速成長ネットワーク効果の基本と応用
根来 龍之 (著)
プラットフォームビジネスやってる人が読むと「こうするとうまくいくのか!」となりそうな感じ
論文ベースで書かれていたりとちゃんと「教科書」感ある
2017年までの割と新しい既存事例の分析がめっちゃしっかりされている、という感じ
逆に言えば未来に対する展望の記述は少なく、IoT社会!シンギュラリティ!ブロックチェーン!みたいな本ではない
ゲームの事例
ゲームの世界はプラットフォームの事例として面白い
妖怪ウォッチ
ウォッチ(時計)に対してメダル(妖怪)を複数セットできる
この場合は時計がプラットフォーム
その一方でメダルはDSやゲーム機などで利用可能
この場合「メダル」がプラットフォーム
単体昨日の製品と比べて、売上が上がるしユーザーの選択肢も増えるのでよい
仮面ライダーのベルト
複数種類のカセットを入れ替えるスタイルにしたらカセット分の売上が伸びた
マスカスタマイゼーションとプラットフォームは密接につながっている
バリューチェーンではなくプラットフォーム
プラットフォームの種類
基盤型プラットフォーム
OS、チップ、ゲーム専用機、AWS、FB、mixiなど
媒介型プラットフォーム
Booking.com、価格コム、メルカリ、Youtube、Wikipedia、クレジットカード
両方の側面を兼ね備えたものも多い
プラットフォームが生まれるための要素
モジュール化
複数製品で同じ部品が使えるようにする・互換性確保
ソフトウェア化
ハードとソフトウェア、という形でコントロール部分がソフトとして分離する
ネットワーク化
複数製品の連携が生まれる
ネットワーク効果
サイド=ユーザーの種類(メルカリにおける売り手、買い手など)単一の場合も複数の場合もある
サイド内ネットワーク効果
LINEのユーザー数が増えるほど、連絡手段として便利になるのでどんどんユーザー数が増える
メルカリの出展者が増えると競争が激しくなり一定以上は増えにくくなる
先行して効く
サイド間ネットワーク効果
メルカリの出展者が増えると、商品が増えるので買い手も増える
クラウドソーシングで受注者が増えると価格ダンピングみたいになってくる
遅く効く
利益をどこで取るか
任天堂は安くユーザーにゲーム機を提供し、ソフトメーカーからライセンスを取ってきた
ひとつのサイド=ユーザーからはお金を取らず、もうひとつのサイド=メーカーから利益を上げる
ユーザー数をまずは増やさないと利益構造が成り立たないプラットフォームも多い
マネタイズは後からでOK!というサービスが多いのもこの辺が理由では?
スイッチのどこがすごいのか
クロスプラットフォーム戦略
据え置きと持ち歩きをつなぐゲーム機をつくり、スマホ勢を取り込む
ニンテンドーIDとかもそういう流れ
スマホというデバイスの転換にうまく乗っかったからソシャゲは強かった
デバイス転換に乗っかって、PC基本のFBのシェアに食い込んだのはLINEも同じ
新しいデバイスが生まれたときは下克上チャンスでもある
CtoC:AirBnBやUber
スマホがあれば事業者になれる=重要機能をWebサービスで賄えるのがつよい
プラットフォームは「品質確保の仕組み」と「信頼確保の仕組み」を提供できればなんとかなる
供給者の評判がわかる
ソーシャル与信などのお陰で、この部分をアウトソースできる
結果的にCtoCのサービス(≒シェアリング)が普及しやすい土壌ができている
消費者が供給者を選択できる
供給者も消費者をブロックできる
トラブル対策の保険などがある(AirBnBは家が例えユーザーのせいで焼けても補償する)
勝手にプラットフォーム化されてつらい事例
プリンター
もともと本体価格を下げて、インクカートリッジで継続的に稼ぐモデル
サードパーティの格安カートリッジが出て死ぬ
カーナビ
車ももともとは本体価格は低いので利益率は低い
カーナビのが利益率はすごく高い
バイヤーの利益源
スマホ、GoogleMapなどの普及でカーナビが不要になり死ぬ
特許で守るなり、それを見越して戦略を立てるなりが重要
どこをオープンにしてどこを自分でやるかの意思決定が大事
利益率とか自社の強みとか考えないとまずい
マルチホーミング
要は「複数プラットフォームを使う消費者いるよね」という話
TwitterもFBもインスタもLINEもやりますという人は多い
SNSは「一人勝ち」が起きにくい
でもこれ以上は厳しいかも(これ以上SNSに時間を取られたくない:可処分時間の取り合い)
クレジットカード
複数持ってても「銀行口座」という統一プラットフォームがあるしそんなに大変じゃない
マルチホーミングのコストが低い
スイッチングコストが高いとマルチホーミングになりにくい
ただし先発ユーザーにとってはあまりスイッチングコストの高さは関係ない
後発ユーザー(レイトマジョリティ)に対して、低価格版などが圧勝することも多い
プラットフォームの切り崩し方
収益モデルの破壊と拡張
有料版のネットスケープに対し、Windowsに無料バンドルしたIEがシェアを取った
IEは収益を上げる必要がなかった
機能的に「IEで十分」だった
ソシャゲも無料展開
据え置きゲーム機はソフトもハードも始めるのにお金がかかる
ソシャゲはアイテム課金で後から儲ければよかった
プラットフォーム包囲
下位プラットフォームから取り込む
ネットスケープ対IEの事例もそれ
下位プラットフォームのWinでシェアとってたので、そこから攻め込めば勝てた
上位プラットフォームから取り込む
Chromeの普及は先にGmailあってこそ
上位プラットフォームで既にシェアを取っていたGmailに対して、Chromeは相性が良かった
だからChromeはシェアを伸ばした
プラットフォーム間橋渡し
クロスプラットフォーム戦略 スイッチと同じ
プラットフォーム互換
Openoffice
WordファイルはMSのWord専用ファイルとして普及しまくった
でも他のソフトでも開けるようにすれば良いのでは?
OpenOfficeがシェアを伸ばす
事実上の合法的なパクり
特許などで守れる?
プラットフォーム連携
水平連携
電子書籍業界単体
AmazonのKindle(一人勝ち状態)の独自仕様に対して、その他大勢がepubという共通規格で対抗
強者に対してオープンな規格の連携で対応
越境連携
広告業とBIの連携
MSとセールスフォースの連携
アドワーズとセールスフォースはワンクリックで連携できる
グレーゾーンのビジネスについて
ユーザーの多くに求められつつも最初は違法だったビジネスは多い
レンタル、Youtube、AirBnB
法改正や安全/品質確保などで乗り越えていった
それができないなら手をだすのはまずい
キュレーションメディアの著作権問題は、結局解決されないグレー(というかブラック)なまま運用が続いてしまい大事となってしまった