ブルファッキンつまんね!おばさん
レッズ・エララの18神のうちの1柱。
歯に衣着せぬ暴言で「ガハハ!」と笑う。
見てくれは小太りの壮年女性で、「パンチパーマも射程距離」な感じでパーマをかけている。
眼光は鋭く、口のひん曲がりには「パワー」がある。
紫色と白色の布をパッチワークしたようなドレスを着ていて、時と場合によっては青空に星が落ちるかのようなきらめきを見せる。
とくに場所や日時を選ばず、歴史のどのタイミングにおいても、状況が非常につまんなくなりそうな時に、すかさずさっと現れて、抜群の批評眼にて「つっまんね!」と暴言を放つ。あまりにその暴言は、皆が漠然と思っていたけど、いろんな事情や閉塞感で言いづらくなっていた事象を的確に射貫く。
その結果、世の中が爆発的に荒れようが、ブルファッキンつまんね!おばさんにとっては些細なことである。なにしろつまんね!だったからだ。
その暴言批評は、爆弾にも似ているが、ただの暴力とは違うのは、的確で、辛辣で、しかし真実で、爽快で、愛がないわけでもなさそうなオカン的ずうずうしさがあって。結果、場が混乱になっても、「もう捨て鉢になんでもありになろうじゃないか!」という前向きさが場に生まれるからだ。通り雨にあってびしょ濡れになるが、あの夏の日はとっても楽しかったな的な少年少女の感覚に似ている。
例えば、ブルファッキンつまんね!おばさんは、同じ深窓の令嬢でも、「静かに死を待つ高貴さ」の少女や、「恨みがやがて創作のパワーになる」少女には、手を出さない。
しかし、無自覚に美貌な政治力があってサロンで場を暗黙裡のうちに仕切ること……にも飽き飽きした少女には「小娘つっまんね!カレー喰えカレー!ほら、冷蔵庫にぬか漬け用意しといたから一緒に食い!」と強引に袖を引っ張っていってサロンから抜け出させる。
中世に冷蔵庫はないが、ブルファッキンつまんね!おばさんが登場すると、扉にマグネットやシールが貼ってある冷蔵庫が出てくる。
下劣であるが、突き抜けたパワーがある。
高貴ではないが、真実味はある。
リアルであるが、憎みきれない。
オカンであるから、どこにでもいる。
でもブルファッキンつまんね!おばさんは、あなたの母親でもないし、「母親的なるもの」でもない。おばさんがこうなりがちではあるが、しかしブルファッキンつまんね!おばさんは、年をくった女性の代名詞でもない。
むしろ、おばさんは、銀河に漂っている。銀河に見つけたゴミを拾う感じで、つまんね!なものを除去する。星雲を自由に漂い、超新星爆発みたいなずうずうしさで、きっとレッズ・エララの「退屈な若造」たちを、強引に救っている。
救われて、きっと5年や10年くらいたって、かつての若造たちは、あの時おばさんは確かに私達を救ってくれたのだ、と気づくが、すでに「おまえはもう、つまんなくは、ない」と認定されたから、おばさんは二度と彼ら彼女らの前には現れない。そしてまた銀河のどこかでおばさんは辛辣に暴言を吐いて、なんかのつまんない場を爆発させ、そのうちの数人かを救っている。
おばさんに直接的に憧れる人はいないし、なにせ風体があのパンチあるおばさんである。
それでも、おばさんの在り方……パワーと強引さ、目つき、そして暴力的な愛の銀河遊泳を、知ってか知らずか部分的に受け継ぐ人だっているのだ。エヴィルとか、セリゼとかのように。