「手紙」#2
落葉(らくよう:刀の精霊、のじゃろり娘)「のぅ、母よ、時雨や。あすこのエヴィルは、この数日間何をしちょるのじゃ?」
時雨「ものっそい真剣な顔をしてるよね。ああいう時は周りをシャットアウトして、完全集中モード入るからね。……でも、確かに今回は、長いね」
時雨の作るおいしいご飯を、いつもだったら「旨い、うまい、めっちゃくちゃ旨い……!信じられん旨さだぞこれ、ジャストタイムの生理化学だけでは説明つかんぞこれ……」と、料理を作る方にとってみれば、最大級の賛辞の健啖でもって食べるエヴィルであったが、このところはうわのそらだ。だから時雨もおにぎりとスープだけで留めている(それでも旨い)
だってねぇ。
時雨は思う。
この集中モードが解除された時、エヴィル君はいつも決まって、物凄い信じられない発想の、おもっっっしろいことを言い出すのだ!
それだけで、2、3年は夢に酔えるほどの。
てことは、つまり、世界をぐらんぐらん揺らすほどの、大天才の偉業が、また、っていうこと。
だから、時雨は別にうわのそらを、不愉快に思ってないどころか、とっても楽しみにしている。
んで。
かくして。
エヴィルが、ようやく、時雨と落葉の方を向いた。
時雨「戻ってきたねっ」
エヴィル「おーう、お待たせさんである……やべぇな。震えてるぜ、今なお。俺様」
落葉「トリップしすぎであるぞ」
エ「Trip、か……Trip、ね。言いえて妙だ。いや、まさに、Tripするのだな」
時「いや、今、まさに旅をしてるよね、私たち」
落「のじゃ」
エ「こんなもん、旅と言えるか!!」
このシリーズはじまって以来の暴言!
落「何を言い出すのじゃ、この美形は!」
エ「もういい!レッズ・エララはもういい!」
時「同人誌『レッズ・エララ神話体系』13巻の作者のひとーっ!(ツッコミ)」
場がワヤになる直前で、エヴィルはすっくと立ち上がり、
エ「時雨君!落葉!」
天才が、恒星よりもギラめいた瞳で、喝破する。
エ「…………異次元、行くぞっ!!」