簡易生活
山下泰平「簡易生活のすすめ 明治にストレスフリーな最高の生き方があった!」2020年2月刊行
『「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本』は、明治大正時代のB級エンターテイメント小説についてで、こちらは明治大正時代の市井の人々のライフハックについて
「科学的態度」でもって、生活の改善をしていこう、という合理精神ライフハック生活改善=簡易生活
もともとは、英語のsimple life(思想)の訳語
それが、この極東ファーイーストエンパイアの日本において、独自の変化をしていく
ところでファーイーストエンパイア日本の「風土」の特殊性を、もっと自覚すべきだと思う。和辻哲郎な風土論も当然で、風土あるところに人間の生き様があり、そこから言葉がうまれ思想が練り上げられていく1000年だが、その1000年の間にも、常に豊秋津洲日本風土と日本土着の民は共に生きてきたのだ
ようは「環境」を科学的に把握しろ、ということ
そして科学的とは、バイアスの無い情報収集→理屈による分析→(発想)→行動による改善 である
(発想)とカッコでくくったのは、ここだけはブラックボックスだから。まぐれ当たりのようなもの
しかし、情報収集、分析、行動、のどれもを重要視して、そのPDCAサイクルをブン回しまくっていくこと
生活が改善されればそれでいいのだ
そして他人を忌避するのもまた「簡易でない」ので、他人の能力を活かして、ちゃっかり自分の得をする
簡易でない
簡易でない、とは、非合理で無駄で、おつらぁい、ということ
簡易=ラクになりたい。そんでもって、より自分が楽しくてしょうがない趣味ーー無駄なことーーをするのが大変よろしい、という思想
この「趣味」の存在なくして簡易生活はありえない、人生は在りえない、というとこがマジで重要
この「趣味なくして人生なんてありえない」というのは、山下氏=コトリコさんにとってあまりに当たり前で自明なことだから、この本ではあまり言及されなかったけど、でも、「簡易とは趣味を削ることだ」と勘違いする人もいるかもしれない。それは本書を注意深く読まないと、誤解するところだと思う