ラズパイリピータへの道
2022/11/11
これは外部の方を大学ネットにサクッと繋いでいただこうという試みの記録です.ですが……
……試行錯誤し過ぎだ>わし
ま,結果としては,ラズパイ+UbuntuMateでめでたくアクセスポイント化に成功しました.
そこに至る試行錯誤たるや……はぅぅぅ……でした.この文はその紆余曲折を整理したものです.
→ なんぞの時のなんぞの役に立つやもしれぬので,置いておきます.
※以下,用語として「ホットスポット」「リピータ」「アクセスポイント」などが出てきます.
本文ではどれもほぼ一緒です>をい
厳密に言うと,おいらが実現したのは「WiFi-to-WiFi接続のリピータ」です( ← 厳密か?)
→ 接続する側にすればアクセスポイントだし,接続エリアを持つためにホットスポットという呼び名になっているのだと思います.
→ さらに「ホットスポット」は,接続するアクセスポイントが物理的にどこにあるのか不明でも,サービスを享受できるエリア,という概念でしょう.なので,Windowsの「モバイルホットスポット」という呼び方はなんだかなぁ~…….
1.<作戦A>そもそもは市販リピータ:2022/11/8
始まりは22年の「特別講義」という科目でした.この科目は,教室に外部から講師をお呼びしてうちの課程にはない講義をしてもらうという科目です.
昨年度(y21)は講師も学生も全面オンラインでしたが,今年はコロナも少しマシな状況なので講師も学生も対面で,となりました.ところが今もポロポロと陽性患者が発生するわけで,学校側としてはオンラインでも受講できる手立てを講じる必要があります.
その結果,講師は教室で話をするのと同時にオンライン講義を立ち上げ,録画をしなくてはなりません.さすがに外部から来られた方に「はい,やってね」とはできないので,こちらでTeamsにゲスト登録したり,当日の配信を準備したりします.
ですが,WiFiがネックになるのです.本学の学内WiFiはかなり高速(300~600Mbps出る)なんですが,本学構成員でないと利用できません.外部の方に用意されているゲスト用のSSIDはフリーではなく,利用するには申請が必要です.またゲストWiFiは速度的に100Mbps弱と,かなり落ちる(それでも十分速いですが)ので,できれば準備側で高速な方の学内WiFiを利用したいものです.
◎A-1案:有線LANでリピータ作戦 → 瞬殺
まず最初の狙いとしては,市販ルータ/リピータを使って,学内有線LANにDHCP接続し,パスワードなしのWiFiアクセスポイントを立ち上げ,教室でサクッと繋いでいただく作戦(A-1案)を考案.
(A-1案) 講師PC――市販リピータ――学内有線LAN―||―学外(Teams等)
この方法は数年前まで,本学の別の建屋でやっていた方法なので,てっきりこの科目の教室でも簡単にできると踏んでいたのですが……いきなりこの作戦は頓挫.なぜならば,
→ 教室AV卓の有線LANが死んでいる!……ハゥゥ(T_T)~いきなり想定外……
◎A-2案 :学内WiFiリピータ作戦 → ✘
それじゃあと,A-2案として,有線ではなくWiFiでおいらの学内IDでWANとして接続た上で,アクセスポイントを立ち上げようと目論みます.
(A-2案) 講師PC――市販リピータ――学内者WiFi―||―学外(Teams等)
→ が,見事にX!
実は数年前に自分で同じことをやって自分で記事にしていました……orz……
原因は,本学の学内ID用WiFiは認証方式としてPEAPを採用していて,多くの市販リピータはそれに対応していないのでした.
◎A-3案:パンがなければお菓子を食べればいいじゃない作戦 → 拒否
調べるとゲスト用WiFi=WPA2で,パスワードのみで接続可能と判明.
じゃあ,学内IDWiFiがだめならゲストWiFiにすればいいじゃない,と考えました.
(A-3案) 講師PC――市販リピータ――ゲスト用WiFi(WPA2)―||―学外(Teams等)
●建屋が違うと通らない……
当初面倒なのでやらなかったゲストWiFiの申請をしてパスワードを頂き,試してみると,自分の実験室では通らない.あれれ? → 接続の連絡メールをよく見ると,教室のある建屋限定!……はぅぅ.
確かに実験室と教室は別ですよ.でもさ,申請したらどこでも使えちゃうって考えちゃうじゃないか~. ← 手前味噌
※管理者の立場で冷静に考えれば,建屋でセグメントを分けて管理するのは必然で当然.申請書に「場所」欄があったのはそのためなのだ.>そこに思い至らないところがポンコツ~.
→ 結局,メディアセンターにお願いして自分のいる建屋も追加してもらいましたとさ.
●A-3案もあかん……
でまあ,ゲストSSIDにパスワードを投入して,市販リピータを試す!
https://gyazo.com/eae8f1d706642c8b3e8eaf5095e21ebe
実験室でも自宅でも快適に使えていたかわいいやつ.
しかし……結果は……✘!どうやったってリピータのメニューからゲストSSIDが選べない.
https://gyazo.com/a6a75fd92a20a6f049d6b10ad6c178b0 https://gyazo.com/8c5fe9aa49be4224714899b3b52eb543
わざわざX印がついてる……
他のルータを合計3種類試したけど → いずれも✘!
<A案の結論:構内WiFiでは市販リピータは使えぬ>
しょうがないので,ベタな解決案を選びました.
◎解決案:先生にはゲストパスワードを
ベタです.ベタベタです.ゲストWiFiのパスもらったんだから,先生PCでアクセスしてもらう.
→ 身も蓋もない解決.チャンチャン.
でまあ,これで終わりなんですが.
……でもさ.
……面白くないやん?
悔しいやん?
というわけで,リピータ作戦を無意味に続行します.
ここから「ラズパイリピータの道」がようやく始まるというわけです!
いままではプロローグだったのか!
◆<作戦B>ラズパイでリピータを作る!
で,本題,ラズパイでリピータ作ろうって話です.いろいろ方法はあるみたいだけど,有力情報が.
U先生情報:Ubuntu の「ネットワークの共有」の機能を使えとのこと.
nm-connection-editor というコマンドが必要になるので,その辺でググると幸せになれるかと思います.
おお.UbuntuならGUIで簡単!とのこと.ただ,
おいらのラズパイはらずびや~ん(Raspbian)なのですよ.
→ 果たしてラズパイ(+Raspbian)でできるのかどうか,乞うご期待~
◎B-1: ラズパイ(Raspbian)でリピータテスト:2022/11/09
※ちなみに使うのはRaspberryPI 4B+(4GB),OSはRaspbian 10 (buster)
https://gyazo.com/59af4a4ee46f528f00f9294c9ebc40ec
おっとっと.ラズパイの起動の注意:HDMIは先に挿しておく必要あり! ← 画面がでずに「う?」ってなります
活線挿抜できるデバイスとできないデバイスがあるということですな.
で,アクセスポイントにしてみたが……
↑↑ をみて設定して → X.
↑↑ これは「WiFI同士も対応」と書いているぞ.前提が必要とか.
↑↑ をいろいろしてみて → 結果 ✘.なんかうまくいかない.
wlan0は学内者WiFi を接続できた! → PEAPはこれでクリア!OK!
wlan1がupしない.APが見えない. → → 結局未解決……
hostapd がちゃんとstartできない! → → これも未解決……
→ U先生おすすめの nm-connection-editor やってない
GUIではなくCLIのみでやりたかったという意地のせいで敗北……orz...
<作戦C>MiniPCでリピータ >をい: 2022/11/11
もうね.ラズパイにもて遊ばれるのにちょっと疲れちゃった.「あなたとはお別れね」
……ので,ラズパイを一旦諦め,Win10の走るMiniPC + Ubuntuでやってみる作戦.
使うのはちょっとしょぼめのMiniPC.
※すぺっく → ちょいまち
◎3-1:ネットスピードはどうだ? → なんか悲しい結果
しょぼいPCなのでネットのスピードが心配.
とりあえず,Win10でのネットスピードを測っとく.
※speedtest google:結果はMbps
1. 内臓AC7265: 426 / 221
2. 外付GW-USNano2: 24 / 9 ←びっくり遅い
3. 外付W300-AN-U2: 154 / 171
4. 外付QERDAOYI: 56/47 ← うーん遅い←これデスクトップPCで300とか出てるんだけど
https://gyazo.com/a5c7f739a813c4d0bbfad650922773dahttps://gyazo.com/e0e7a7a6c86e879491ae7ac353034644https://gyazo.com/ed6a4e157a58c047dfc943b584ff2229https://gyazo.com/d6c6b453f8fbd9c86429fb640778e167
→ 確認: 1と3でWinのモバスポ ← 「モバイルホットスポット」のことね.ようはテザリング.
WiFi1内蔵: 20 / 15
Wifi3W300: モバスポできん.勝手に切断する
https://gyazo.com/3ba2634339177271c902bb5da3aac879
結局、外付Wifiでまともにモバスポできるのがない~~涙.ということが判明.
はい.
→ これを踏まえてUbuntuを入れてみるさ~~
◎3-2:MiniPCにUbuntu → 頓挫! :2022/11/12
これを踏まえてUbuntuを入れてみるさ~
やってみた.→結論:MiniPCのUSBブートが不可能……
なんじゃそりゃ~
※インストールUSBは他のPCではブートするのを確認.
理由はわからんが,MiniPC独自の問題らしく.
ついでにChromeOS FlexのインストールUSBも作ってトライ
→ あかんわなそりゃ.※他のPCではちゃんとChromeOS起動.
どれだけ壁にぶつかればいいのよ?
でまあ,ラズパイで素直にUbuntuMate入れてみたっていう話にたどり着くわけです.
◆<作戦D>ラズパイにUbuntu → ついにきた~!:2022/11/15
ラズパイはRaspbianのまま使ってたので,いろいろ難儀だった.
これをUbuntu MATEに変える作戦.
◎D-1:インストール
※2022/11/15時点で,Ubuntu MATEは22.04 LTSを選択.
1a. SDcardを準備
1b. OSのisoファイル,Imagerをダウンロード
2. → Imagerを作業PC(Win)にインストール
3. → ImagerでisoをSDCardに転送
https://gyazo.com/6479ff4f9e33d307630d8470b8986af3
4. ラズパイでブート → ← OK!
◎D-2:アクセスポイント設定 ←OKじゃん!@2022/11/16
1. 外部WiFiを接続
2. nm-connection-editorで設定.
内蔵のWiFiコネクションはすでに定義
3. 外部WiFiは未定義なので追加:SSIDを決める(ex. ryu-ele-tmp)
これを「HotSpot」で定義するのがミソ
4. これでOK.設定は保存されて次回のブートでもOK
テスト:他のPCでHotSpotにしたSSID (ryu-ele-tmp)を探して接続
★画像で解説
1.UbuntuのGUIモードでターミナルを起動して以下のコマンド ← これややこしいよな!
nm-connection-editor &
2.で, ▼▼ が起動.※画像は設定後のもの
https://gyazo.com/d1e8ebe36f4ca808f887db15827baa45
※最初は上のWiFi欄には内蔵WiFiの接続しかなかった.
3.ここでまず内蔵WiFiをWANのSSID(ここではru-staff)に接続する設定.
rustaff(最初は別の名前)をダブルクリックすると設定画面がでる ▼▼
https://gyazo.com/722c7b35c38465ab7f11e830c7a763c8https://gyazo.com/2caf8b486b32bdcd3367870f07353e27https://gyazo.com/e1a76be0572fa1d0d03a7f424e787665https://gyazo.com/9a1492357c3010cd4a347abc58c34c38https://gyazo.com/5a9e0b421a4693adf854f17563f4a3b3
図1 図2 図3 図4 図5
3-1. "WiFi"タブ(図1).ここでいじるパラメータは以下の通り.
SSID:接続する学内WiFi.
Mode:Client
Device:wlan0 (内蔵WiFi)を選択
ほかはデフォルト
3-2. "Wi-Fi Security"タブ(図2).パラメータは以下の通り.
Security: WPA&WPA2 Enterprise ← これ重要.同じnmでもCUIマネージャでは不可注意
認証: PEAP ← これも重要
☑「CA証明書は必要ありません」にチェック
内部認証:MSCHAPv2
ユーザ名:自分のユーザID
パスワード:自分のパスワード
3-3. "Proxy"タブ(画像なし) → 設定不要
3-4. "IPv4 Settings"タブ(図3)
Mothod: Automatic(DHCP) ← これで他はほぼ設定不要
Additional DNS Servers: 133.83.4.6 ← 念のため
3-5. "IPv6 Settings"タブ(図4) → Method: Disabled にしておく
3-6. ちょっと戻って"General"タブ(図5)
☑Connect~: 999を入力(最高位)
☑All users~:これもチェックしておく
3-7. 右下の"✓Save"ボタンで保存
→ この時点で設定は動き出す.はず.
4.つぎに外付USB WiFiをアクセスポイント(ここではryu-ele-tmp)に接続する設定.
アクセスポイントにする接続設定を開く. ▼▼
https://gyazo.com/c6fc14817d357b5a93113c49f06ea517https://gyazo.com/39a25451443957f8b3cdac26015d6c5dhttps://gyazo.com/f36b59111dea456def4fd5af461841e3
図6 図7 図8
4-1. "WiFi"(図6)
SSID: ryu-ele-tmp ← すきな名前で
Mode: Hotspot ← これが重要!これでAPになる!
Device: 外付WiFiを選択
あとはそのまま
4-2. "WiFi Security"(図7):Noneで. ← これでパスなしでアクセス.
※他の人(学生)からもアクセスできてしまうので,簡単なパスを設定するのがいいかも
4-3. "Proxy":なしで.
4-4. "IPv4 Settings"(図8)
Mothod:Shared to other computers を選択
Address:192.168.1.100
Netmark:画像では24だが,正しくは255.255.255.0
Gateway:192.168.1.1
4-5. "IPv6 Settings" → なしで.
4-6. 右下の"✓Save"ボタンで保存
以上の操作をした後,スマホとかノートPCでWiFiを探索すると,"ryu-ele-tmp"が見つかる.
→ パスなしで接続できる.
◎スループットは……
iPad mini6で接続してspeedtest. → 23 / 26
https://gyazo.com/118444146a2b05fd7ecf9daa37ed839d
ASUS Chromebookで接続してテスト → 16 / 5 ← あらら?
https://gyazo.com/a9087f8bf96aa3896e6657a645247a17
何度か試したが,もっと速度がでたり,遅かったり. → 安定しない様子.
★結論1. 最初からUbuntu入れてやっとけばよかったね,どんだけ遠回りしたんだ?
★結論2. 速度はWindowsでモバスポ有効にしたのと同程度.だが,ラズパイ本体持っていって電源いれるだけでアクセスポイントになるのはメリット. → シャットダウンはブチ切りだが……
★結論3. 講師PCにゲストWiFiにアクセスしてもらうのがベストソリューションだと判明.
ということでした.ふうぅ.
以上,ラズパイルータへの道プロジェクト,解散.
2022/11/16
2022/11/21追記:
◆Windows「モバイルホットスポット」を起動時有効にする
モバスポの呼び出しコマンドは ms-settings:network-mobilehotspot
疑問なのはshell:startupで自動起動するのは,自分のIDでログオンした後.
自分IDで自動サインインするようにしておけば,自動起動は可能だが.
→ なんとなくかっこ悪い.
★サインイン前にプログラムを自動起動するには,タスクスケジューラ,グループポリシーをいじる……らしい
PSスクリプト書いて,タスクスケジューラに登録したらなんとか自動upしやがった.
例:T430sでモバスポ:eo光(100M)--Win10--モバスポ
speedtest: https://gyazo.com/d6ea86593c6b863264f4cb59ca02c279
そこそこいけてる.