『関係としての自己』
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《自己とは、自己と世界とのあいだ——現在の事物的世界とのあいだだけでなく、当面の他者とのあいだ、
所属集団とのあいだ、過去や未来の世界とのあいだなどを含む——の、
そしてなによりも自己と自己とのあいだの関係そのもののことである。》(第IV章より)
精神病理学の第一人者による、著作集完結以来はじめての論文集である。
対人恐怖症、離人症、統合失調症などにあらわれるこころの病理との面接をつうじて、自己の一人称的アクチュアリティと
三人称的リアリティのあいだから、「生命」と「生命それ自身」との根拠関係へと、著者の思索はさらに深まっていく。
《われわれはここで、それぞれに個別性をもってそれ自身の生存を求めて生きている個々の生命体の生命と、
それを生きものとして成立させている「生それ自身」とのあいだの差異を、(…)「生命論的差異」と呼んでもよいのではないかと考える。》(第VIII章より)
その豊富な臨床経験と、ハイデガーの存在論、ニーチェの永遠回帰、フロイトの「死の欲動」、
西田幾多郎の「純粋経験」などとの思想的対話をとおして、私を、自己を生きるとはいかなることなのかを論じつくす、木村人間学の到達点。