『納得の構造──思考表現スタイルの日米比較 (岩波現代文庫 学術490)』
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出版社 : 岩波書店
発売日 : 2025/11/18
ISBN:4006004907
日本人の説明のわかりにくさは説明の「順番」にあった! 私たちは何を根拠に〈納得〉するのか。その謎を、独創的な作文実験と日米の作文・歴史教育から解き明かす。論理と合理性、能力が文化的に生成されることを実証した画期的な書がついに文庫化。これからの多元的な世界を生き抜くすべての人々に必読の書。
目 次
はじめに
第1章 叙述の順番と論理のシステム
順番に現れる論理
日本とアメリカの作文構造――起承転結とエッセイ
日本とアメリカの歴史叙述――前進する勢いと遡って探る原因
日米大学生の比較研究
二つの基本構造
第2章 順番のマジック――四コマ漫画の作文実験
1 日米の子どもたちは同じ絵をどう説明するか
四コマ漫画の作文実験
自由課題――ものを述べる順番に違いはあるか
条件課題――原因は何か
補完のパターン――コメントと感想
感情的な方向づけ
2 日本人児童の作文の特徴
時系列構造と語りの特性
日本人児童の作るお話
時系列で原因を述べる工夫
時系列の説明スタイルの特徴
3 アメリカ人児童の作文の特徴
多様性はどこからくるのか
アメリカ人児童の視点
因果律の説明スタイルの特徴
第3章 いかに書くか――作文指導と創造力
1 日本とアメリカの小学校
2 アメリカの作文教育
書く技術の向上
アメリカの作文評価基準
アメリカで「創造力」とは?
アメリカの作文教育が目指すもの
3 アメリカの作文指導――創造性開発の訓練
異なる様式(ジャンル)の習得
エッセイはどう書くか
クリエイティブ・ライティングはどう書くか
いかに評価するか
アメリカの個性と創造力――様式の選択と組み合わせ
個性と創造力の処遇――賞賛と叱責
4 日本の作文指導
生き生きとした気持ちの表現
感動する心の育て方――感想文はどう書くか
共感と激励――批判と採点の回避
日本の個性と創造力――ジャンルを超える感情表現
個性と創造力の処遇――心情的な支援
5 作文実験の謎解き
第4章 二つの日米逆転現象
1 自由と規範のパラドックス――個性と創造力のあり方
2 作文教育の歴史の逆転――書くことを通じて求められる能力
3 見たまま、感じたままを素直に綴る――日本の「学校作文」の誕生と変遷
大正期の〈子ども〉の発見
明治期――「発見」以前の型式・模倣主義
大正期――綴り方の創造
昭和期――生活綴り方と国民学校の綴り方
戦後の作文教育
〈子ども〉は解放されたか――学校作文の歴史的パラドックス
4 アメリカ作文教育の源流と革新
アメリカ作文教育のルーツ
二〇世紀作文教育の基礎
アメリカの中産階級精神と科学信奉
心理学と作文評価の数値化
クリエイティブ・ライティングの全盛期
作文教育の空白期と総合言語運動
高等教育の大衆化とエッセイの誕生
変わらぬ伝統とアメリカの革新
5 日米作文教育の歴史と変化
第5章 いかに語るか――歴史教育と分析力・共感力
1 過去はどう語られるか
「いかに」「どれくらいの量」問うのか
2 日本の歴史授業――どのように? と問う意味
時系列連鎖の語り
長い連鎖で語る意味
状況と過程
長い連鎖と心構えに見る過去と未来
3 アメリカの歴史授業――なぜ? と問う意味
逆向きの因果律構造
情報の選択
もし……だったら?――選択と切り捨ての技術
アメリカの結果重視と短い因果
4 いかに評価するか――良い説明と求められる能力
日本の評価方法と共感能力
共感教育のルーツ
「わかりやすさ」から「感化教育」への変容
戦後の共感教育の復活
アメリカの評価方法と分析力
分析力と能力の格づけ
いつから「なぜ」と問うようになったのか?
なぜ決断力・分析力が必要か?
5 歴史教育の二つのスタイル
日本とアメリカの歴史の語り
語りのスタイルと理解のスタイル
第6章 正しい行動の二つのパターン――目標と評価をつなぐもの
1 日米通知表比較
学校生活すべての通知表――日本
試験の成績中心の通知表――アメリカ
評価の対象――「見えない学力」と「見える学力」
2 目標と評価の因果関係――価値目標と技術目標
アメリカの技術目標と合理的な行動
日本の価値目標と正しい行動
3 二つの社会が求める能力
日本の「共通の理解」を作る「共感力」
グループ活動の二つの原理――「自発」と「分業」
アメリカの「分析力」
アメリカの「判断基準」――形式的基準と実質的基準
4 能力の応用
二つの学級統制――相互抑制と報奨処罰
行動の動機づけをどう見るか
5 授業の構造と叙述の構造
起承転結の授業――日本
エッセイ構造の授業――アメリカ
第7章 スタイルの衝突
1 スタイルの混合と思わぬ結末
日本の教室の「なぜ?」
アメリカの共同学習
システムとして働くスタイル
2 納得の構造
論理の起源と基本カテゴリー
カテゴリーの連携と納得の構造
「非個人的に」「安定して」そして「伝達可能に」考えること
3 納得のスタイルと時間の把握
後ろ向き時間と「近い未来」の歴史
資源として時間を使う能力
前向き時間と「過去の再現としての未来」
共同体の時間の構築
第8章 ポストモダニズムを超えて
スタイルの「違い」と能力「格差」
主流文化のスタイルとは
文化資本としてのスタイル
スタイル間の「スイッチ」は可能か
文化相対主義を超えて
参考文献
おわりに
岩波現代文庫版へのあとがき――日本とアメリカの三〇年