『天才たちの日課 女性編 自由な彼女たちの必ずしも自由でない日常』
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草間彌生、ピナ・バウシュ、フリーダ・カーロ、アリス・ウォーカー、ヴァージニア・ウルフ、エミリー・ディキンスン、マルグリット・デュラス、スーザン・ソンタグ、ミランダ・ジュライ──
女性の作家、画家、デザイナー、詩人、アーティストは、いかにして日々「制作」に向かい、「生活」と「仕事」 の折り合いをつけていたのか。
大ヒット作『天才たちの日課』第2弾! 創作に打ち込むクリエイティブな女性たち143人の、惚れ惚れするほど鮮やかな/とても真似できない(してはいけない)ほどユニークな/頭を抱えてしまうほど並外れた、その苦闘が胸に迫る143通りの驚くべき試行錯誤。
それぞれの人物を特徴づける日々の日課や毎日のスケジュール、「仕事のお供」の嗜好品などはもちろん、創作に適した精神状態の保ち方や、自信がなくなったときの対処の仕方、さらにはいかに自分自身の場所や時間を確保したか、偏見や差別をどう乗り越えたかなど、とても他人事とは思えない切実な状況の数々は現代を生きる私たちにも大きなヒントになるはずです。
窮屈で不自由な枠からはみ出そうと格闘するすべての才能あふれる人々に捧げられた、自由と勇気のための福音の書となる1冊!
◆「私は自分の経験のすべてを物語にすることと引き換えに、悪魔に魂を売ったの」イサク・ディーネセン(作家)
◆「大切なのは規律を守ること。とにかく仕事をやり続ける。そうしたら突然、なにかが湧いてくる──なにかちっぽけなものが。それがどう化けるかはわからない。でも、誰かが明かりをつけようとしているみたいに感じる。すると、また勇気が湧いてくる」ピナ・バウシュ(舞踊家)
◆「私は成功しなくてはならなかった。だから絶対に、絶対にあきらめなかった。バイオリニストにはバイオリンがあるし、画家ならパレットがある。でも私にあるのは私だけ」ジョーゼフィン・ベイカー(ダンサー・歌手)
◆「”休み”という言葉をきくと、不安になるの」ココ・シャネル(服飾デザイナー)
◆「書くことは自分を使い果たし、自分の命を危険にさらすこと」スーザン・ソンタグ(作家・批評家)
◆(スランプにおちいっている作家へ)「なにをしてもいいけど[……]誰かに電話したり、パーティーに行ったりするのはだめ。それをすると、見失った自分の言葉があるべき場所に、ほかの人の言葉が流れこんでくるから。自分の言葉のために隙間を開けて、場所を作る。そして辛抱強く待つ」ヒラリー・マンテル(作家)
◆「黒人の女性が作家の人生を選ぶには、向こう見ずな勇気と、真剣な目的と、文学への献身と、強い意志と、誠実さが必要だ。なぜなら黒人で女性の作家はつねに不利な立場に置かれるからだ。あらかじめ、勝ち目がないように仕組まれている。しかし、いったん賽が投げられたら、もうあとには引けない」マーガレット・ウォーカー(詩人・作家)
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今回、女性だけにフォーカスを当てたことで明らかになったのは、どのようにインスピレーションを受けて創作に生かしたのかということや、常人には理解しがたい儀式めいた日々のルーティンよりも、もっと切実なことが女性にはあった、ということ――。
女性たちは、常に、生活(おもに家庭生活)からくる自分の場所や時間を確保できないという困難と、女性であるがゆえに受ける偏見や差別を乗り越えるという苦闘に、直面させられていた。本書に収録されている143人すべての女性たちの日課を見てみると、その先には、思いもかけないドラマチックな景色が広がっている。
女性が創作を仕事にするためにどれだけ格闘したのか、仕事を続けることがどれだけ困難だったのか。そしてそれはまだ現在進行形の問題といえるだろう。この本は、過去、現在そして未来の、ものをつくり、はたらき、生活していくすべての女性たちの姿を静かに照らしている。
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【推薦コメント】
働く女性にとって、これはもはや実用書だ。
わたしは天才じゃないし、女優や小説家のようなアーティスティックな仕事をしているわけじゃないし…なんて卑下する必要は一切なし。パラパラとページをめくるうちに、必ずや身に覚えのある記述に出会うはずだからだ。
長い通勤と子供の世話でまともな食事がとれないキュリー夫人、家事に追われるフリーダ・カーロ、常にマルチタスクで馬車の中でもメモをとっていたスタール夫人――。
そう、そこにあるのは、華やかでもミステリアスでもない、あなたと同じように限られた時間をやりくりし、ワークライフバランスに悩む女性たちの、ひりひりするような生活の苦労と幸福である。本書は、あなたと一緒に戦ってくれる同志に出会うための本なのだ。
役に立つヒントもたくさんある。一方で、女性が生きたいように生きることの難しさに怒りを覚えるエピソードもある。どちらにしてもパワーがめらめらと湧いてくること間違いなし。構成も面白い。
――伊藤亜紗(美学者・東京工業大准教授)
自分を追い込み、人を追い込み、高揚→憂鬱→希望(リリアン・ヘルマン)のプロセスを生きる。
そのとき何時に起きて、何食べて、何を着てたの? 家の掃除は? 子供の世話は? 人づきあいは?
天才たちの「フラストレーションや妥協に満ちたドラマチックな景色」(編者)は私たちの暮らしからもそんなに遠くない。
143人の日課が束になって力をくれる。
――斎藤真理子(翻訳家)
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【書店員さんのコメント】
いくつになっても「女性」であることに慣れないのはなぜだ。
妻や母という伝統的な役割に関わっていない自分に欠陥を感じてしまったとき。性的偏見に自尊心をくじかれたとき。
「生活(ライフ)」と「仕事(プロジェクト)」の折り合いがつけられず立ちすくんでしまったとき…。
彼女たちの生きざまは、私にふたたび歩むべき道を照らし、選ばなかった道さえも人生には必要であったと教えてくれる。
木村綾子(文筆業、本屋B&B)
創造的な女性たちが、自分自身と向き合う中で生み出した色とりどりの仕事と暮らし。それぞれの実践の軌跡がまとまったこの本は、小編一つ一つの個性が愉しく、全体としても示唆に富んだモザイク画みたいだ。今を生きる人にも多くの学びと自分を信じる勇気をくれる、あなたにとって新しい味方になる一冊。
磯上竜也(toi books)
時に強さに、時には弱さにもなる“女性である”ということ。女性を取り巻く様々な環境や事象の中で培われた彼女たちの好きな仕事をするための習慣から、決して性のみに囚われない、「“私”をいちばん分かっているのは、私」という、ひとりの人間として困難に立ち向かう、誇りと力を感じられる。
三木早也佳(本屋プラグ)
天才とは自由を手にした人々だと、本書に登場する女性たちのエピソードを読んで改めて考えさせられる。性別や役割、社会のなかでの制約を取り払い、人間としての本当の生き方を提示してくれる。ただ、彼女たちは特殊な人々ではない。その姿はまさにいまを必死に生きる読者に必ず共鳴するだろう。
鵜飼慶樹(京都岡崎 蔦屋書店 コンシェルジュ)
他人の習慣、日々の生活を知るのは楽しい。それが「天才たち」のものならなおさらわくわくする。前作同様、テンポ良く紹介されていて私たちの好奇心を大いに満たしてくれる。イメージ通り!のひともいれば意外すぎる習慣を持つ人まで。
辻香月(大垣書店 イオンモールKYOTO店)
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「この本は2013年〔日本語版は2014年〕に刊行された『天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々(Daily Rituals: How Artists Work)』の続編であり補正版だ。前作では、作家や詩人、画家、作曲家、哲学者、その他の傑出した人々の日々の暮らしや仕事ぶりを簡単にまとめて紹介した。私はその出来に満足していたし、自分と同じように、創作の現場をのぞき見したいと思っていた人たちに読んでもらえてうれしかった。そういう人たちは、ベートーヴェンが朝のコーヒーのために豆をきっちり60粒数えていたことや、バレエの振付家のジョージ・バランシンがアイロンがけの最中に最高のアイデアを思いついていたことや、作家のマヤ・アンジェローが「小さくて質素な」ホテルの部屋で辞書や聖書やトランプやシェリー酒のボトルに囲まれて書いていたことを知っておもしろがってくれた。しかしこの本には、いま思えば、大きな欠陥があった。そこで取り上げた161人のうち、女性は27人しかいなかったのだ。割合にして17パーセント以下だ。
なぜ、これほど男女の比率にあからさまな差があるまま刊行してしまったのだろう。誰もが納得する言い訳があるわけではないが、前作で私が試みたのは、過去数百年の西洋文化圏で天才や偉人と呼ばれた人々の横顔(プロフィール)を紹介することだった。そしてそれを成功させるためには、「あの有名な天才がこんな平凡な日常を送っていた」という風に、イメージと実像のギャップを示すことが重要だと考えていた。そのために、西洋の有名な作家や画家やクラシック音楽家などに焦点を合わせた結果、残念ながら、対象となる人物の大半が男性になってしまったのだ。がんばって女性の話を見つけようと思わなかったことは、私の想像力が恐ろしく欠けていた証拠で、ほんとうに申し訳なく思っている。
そこで今回は、前作にみられた男女比のバランスの悪さを遅まきながら解消するとともに、私がもともともくろんでいたことをよりよく実現するために努力した。そのもくろみとは、単にインテリが好みそうな雑学情報を集めるだけでなく、読者にとって実際に役立つ本にしたいということだった。
」 (「はじめに」より抜粋)