『パラドックス』
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「パラドックス」とは,正しくみえる前提や論理から,納得しがたい結論に行き着いてしまう問題のことです。その歴史は古く,古代ギリシャまでさかのぼり,これまでさまざまなパラドックスと,それに対する解決策が生み出されてきました。
パラドックスはパズルのようなもので,面白いけれども,日常生活とは何のかかわりもないと思われがちですが,日々の会話や生活の中で直面するジレンマの中に見いだすことができます。本書を読み進めていくうちに,パラドックスの解決策は,日常生活と関係があることがわかるでしょう。本書を通してパラドックスの解決策を学ぶことで,日常で直面するパラドックスに対処できるようになるはずです。
《目次》
シリーズ序文
序文
序章 :パラドックスは問題をはらんでいる?
第1章: パラドックスとその解決策を考える新しい方法
1 はじめに:パラドックスの基礎を成す直観
2 主観確率の登場:物事を信じる度合いについて
3 主観確率を使用してパラドックスを分析する
4 主観確率とパラドックスの解決策
5 結論
第2章: パラドックスの解決策
1 イントロダクション:
直観の再教育としての解決策
2 解決策タイプ1:先制攻撃,あるいは逆説的実体への疑問
2.1 パラドックスに対する先制攻撃の例:ツェルメロ=フレンケルの集合論によるラッセルのパラドックスに対する解決策
2.2 先制攻撃という解決策の種類の一般的な分析
3 解決策タイプ2:「異質なものを除外する」アプローチ,あるいは欠陥のある仮定の指摘
3.1 抜き打ち試験
3.2 時計職人,医者,科学者:ベイズ主義とデュエム=クワインのパラドックス
3.3 ゼノンのパラドックスと無限収束級数のアイデア
3.4 「異質なものを除外する」解決策タイプの一般的分析
4 解決策タイプ3:ここからそこへは到達不可能とする,または推論の妥当性の否定
4.1 体系的な「ここからそこへは到達不可能とする」 解決策:砂山のパラドックスに対するファジー論理
4.2 ファジー論理の問題点
4.3 「ここからそこへは到達不可能とする」解決策の一般的な分析
5 解決策タイプ4:「すべてよしとする」アプローチ,あるいは反直観的な結論を含め,パラドックスのすべての部分が問題ないと主張する方法
5.1 体系的な「すべてよしとする」解決策:真矛盾主義,矛盾許容論理,うそ
5.2 真矛盾論理および矛盾許容論理についての考察
5.3 「贅沢なパラドックスあるいは明白な不条理」:趣味のパラドックス,そして超付値主義的「すべてよしとする」解決策
5.4 「すべてよしとする」解決策の一般的分析
6 解決策タイプ5:迂回する:代わりとなる概念をつくる
6.1 タルスキーによる,うそつきのパラドックス,グレリングのパラドックス,および定義可能性のパラドックスからの「迂回」
6.2 パラドックスをめぐるタルスキーの「迂回」
6.3 「迂回する」解決策タイプの分析
7 解決策タイプ6:潔く結果に向き合う:パラドックスを受け入れる
7.1 ドルコストオークションに対する「 潔く結果に向き合う」解決策
7.2 砂山のパラドックスに対するマイケル・ダメットの解決策
7.3 「 潔く結果に向き合う」解決策の分析
8 どの解決策をどの状況で用いるべきか
9 結論
第3章:パラドックスを見失ったのか?
パラドックスの解決策の成功(と失敗)
1 はじめに:歴史から学ぶ
2 ドクサ(doxa)からパラドクサ(paradoxa)へ:西洋哲学におけるパラドックスの起源について
3 A(アリストテレス)からZ(ゼノン),そしてそれを超えた解決策の代替概念
3.1 アリストテレスとパラドックスの解決策の起源
3.2 中世の解決困難な命題( インソルビリア)
3.3 カントの解決策とその二律背反
3.4 のちの時代におけるパラドックスの解決策v 3.5 解決策の調査についての結論
4 新しい科学,新しいパラドックス
4.1 パラドックスの解決策の科学
4.2 ポパーの説明
4.3 汚染のパラドックス
4.4 クーンによるパラドックスの解説
4.5 ラカトシュによるパラドックスの解説
4.6 量子力学の例:EPRのパラドックスv 5 パラドックスへの解決策に対する科学的進歩理論からのモラル
結論
用語集
注釈
参考文献
関連資料
索引