『デザインのためのデザイン』
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『人月の神話』の著者による35年ぶりの新刊!
ブルックスJr.によるデザインプロセスの本質をめぐるエッセイ集
〜コンピュータアーキテクチャから家屋建築まで〜
効果的なデザイン(設計)は、ソフトウェア開発からエンジニアリング、建築にいたるすべての分野にとって最も重要な課題である。しかし、デザインプロセスについて、どれほどのことが理解されているだろうか? いったい何が、効果的で素晴らしいデザインをもたらすのだろうか?
本書は、こうした問いをめぐって、『人月の神話』の著者F・P・ブルックスJrが、長年深めてきた考察をまとめたエッセイ集である。どんな分野のデザイナにとってもヒントとなる、たぐいまれな洞察を与えてくれている。
著者のアプローチは、デザインプロジェクトが本来的に備えている不変的な側面に光をあてることである。それによって優れたデザインをもたらすためのプロセスとパターンを明らかにしようとしている。そして、何十人もの卓越したデザイナとの交流や、複数のデザイン領域での自身の経験を描きだしながら、「デザイン上の大胆な決定こそが、むしろいい結果をもたらすのだ」という知見へと導いてゆく。
本書での議論は、すべて具体的な事例が示されており、興味が尽きない。デザインプロセスの進化をたどり、現代のデザインに必須となる共同作業や遠隔作業を取り上げる。そうして「何が素晴らしいデザイナを生み出すのか」という問題に接近してゆくのだ。また、デザインプロセスの基本と要点となる、予算上の制約や、美学、デザインの経験主義、ツールなどについても、怠らず詳細に検討を加えている。そして、実際に著者が関わったデザインプロジェクトに基づいて、デザインプロセスの本質に迫る議論を展開している。とくに家屋設計やIBM Operating System/360などのケーススタディは、著者とともにデザイン決定の場面に立ち会うことができ、非常に有益なものとなっている。
本書全体を通じてブルックスが提供しているのは、あらゆる分野のデザイナ、デザインプロジェクトのマネジャー、あるいはデザイン研究者が知っておくべき、デザインを成功させるための鍵である。デザインにかかわるすべての人のための、新たな古典の誕生といえるだろう。