『なぜならそれは言葉にできるから――証言することと正義について』
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暴力をうけた人は、それを話すことができるだろうか。
周囲の人はそれを聞くことができるだろうか。
暴力は、日常の「こうであるはずだ」という約束を壊す。世界で
生きていく前提が崩れてしまうのだ。だから、何が起こったのかを認識するのに
とても時間がかかる。その話を聞いた人も、言われたことを即座に理解することはできない。
けれども、暴力は世界中で蔓延し、ある日突然被害者になる人は増え続けている。
世界への信頼を打ち砕かれた人が、ふたたび世界へと戻って来られるために、
私たちは何ができるだろうか。
著者エムケは戦地を取材し、さまざまな人と出会う。そこから、
「語ること」「聞くこと」「聞いたことを伝えること」について考えていく。
語ることを強いるのではなく、言葉にできないとするのでもなく、「それでもなお
語る」ことを探ること。口ごもりながら、断片的に語るとき、そこには空白があり、
謎があるかもしれない。だからこそ「それ」は言葉にできる。
語りの首尾一貫性ではなく、聞く人が「それ」を聞けるかが、
世界への信頼を取り戻す鍵となる。
出会った人々の言葉とともに、旅するエムケの生活や思い出が、普遍的な考察へと
つながっていく。温かく、深みのあるエッセイ。