自分の考えを別の文脈にはめこむ
相手に触発されて、おもいもかけないことをしゃべってしまう。その新鮮な感動が、対談や座談会に出席することの魅力なのである。もっとも、おもいもかけないことといったが、まったく無から有がでてくるわけではない。じつは、日ごろ研究室でわかい研究者たちを相手に、討論したり雑談したりしているなかに、断片的にはでてきているのである。それが、対談中に、突如としてひとつのコンテキストにはめこまれて、意味あるものとしてたちあらわれてくるのである。 梅棹忠夫 初出:「対談論」『ふたつの日本』(「著作集」第11巻に収録)