研究と執筆の違い
◆「研究」と「勉強」の違い
これに対し、「研究」というのは、まったく異なるアクティビティだ。研究とは、フロンティアからさらに一歩前へ進み、既知の領域を広げるということ。もちろん、道なき道を開拓しながら進んでいくことになるので、それはとてもしんどい作業であり、一朝一夕にできるものではない。さて、ここで重要なのは、かならずフロンティアを開拓しなければならないということだ。すでに開拓されているところで、新たに開拓したとしても、それは「車輪の再発明」であり、研究にはならない。SFCカリキュラムの言葉に照らして言うと、「研究=先端×創造」なのであり、「研究とは、先端領域で創造を行うこと」なのだ。「研究」には「勉強」が不可欠だが、いくら「勉強」をしても「研究」にはならない。この「研究」と「勉強」の違いを意識することが、研究テーマを考える上でとても重要なのだ。
執筆は、一冊一冊がまったく新しい本であり、その活動はフロンティアの開拓と呼べる。しかし、そこで書かれる内容は、道の知識の開発であるとは限らない。つまり、「研究=先端×創造」だとするとき、「執筆=既存×創造」という場合がなりた。言い換えれば、「執筆とは、既存領域で創造を行うこと」というのが(ときとして)成立する。