水道哲学
水道の水のように、低価格で良質なものを大量供給することで、物価を下げて消費者が簡単に手に入れられるようにしよう、という思想。
産業人の使命は貧乏の克服である。その為には、物資の生産に次ぐ生産を以って、富を増大しなければならない。水道の水は価有る物であるが、乞食が公園の水道水を飲んでも誰にも咎められない。それは量が多く、価格が余りにも安いからである。産業人の使命も、水道の水の如く、物資を無尽蔵にたらしめ、無代に等しい価格で提供する事にある。それによって、人生に幸福を齎し、この世に極楽楽土を建設する事が出来るのである。松下電器の真使命も亦その点に在る。
※1932年(昭和7年)5月5日、大阪堂島の中央電気倶楽部で開催された、松下電器製作所(当時)の第1回創業記念式での社主告示
当然大量生産、大量消費と結び付く(水道の水を使うように使われるはず)。あるいは家電製品などを生活の「インフラ化」する試みとも言える。