本の歴史と人の注意力
『人類の意識を変えた20世紀: アインシュタインからスーパーマリオ、ポストモダンまで』という本を読んでいる。
その第2章「モダニズム」の中で、著者は『ユリシーズ』について言及し、著者の文体が魅力的だと述べたうえでこのように続ける。
読者からすると、たとえ作者の言わんとするところが掴めず、これといった筋の新店がないように思えても、読み続けたくなる言葉のリズムを持っている。だが、そうするには集中力が、それも持続する集中力が必要だ。ジョイスの作品は、注意力散漫な二一世紀人向けに書かれたものではない。しかし、それこそが重要なポイントだったように思える。
ある程度の長さをもった本が一般的に普及したこと。
識字率の向上。
そこからもたらされた精神的な変化。読書について語るときは、この点が外せないだろう。