有用な書評の効能
憶測に過ぎないが、有効な書評が多いほど(あるいはそれに多く触れるほど)、その本は「面白く」なると思う。
それはプラシーボや同調的圧力の内面化、ということではなく、読み手がどこに目を向けるべきなのか(どこに面白さの厳選があるのか)を示すからだ。
そうした書評に触れなければ、目も向けることなく過ぎてしまった要素に読み手を誘う。そういう機能が書評にはあるように思う。
あるいは逆に有用な書評とはそういう機能を内在したものだとも言える。それを実現するのが、小林秀雄が『考えるヒント』で書いている「人をほめる特殊の技術」なのであろう。