フォレンジック・アーキテクチャー
【1月31日 MEE】昨年、ターナー賞(Turner Prize)の最終候補が発表された時には、思わず眉をひそめた人もいたに違いない。英国ビジュアルアートの最先端に目を光らせる同賞の選考委員会が、調査機関「フォレンジック・アーキテクチャー(Forensic Architecture)」の作品をノミネートするという、実に大胆な選考をしたからだ。
ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ(Goldsmiths, University of London)を拠点とするフォレンジック・アーキテクチャーは、主流メディアで見逃されたり、政府によって意図的に無視、歪曲(わいきょく)されたりしている犯罪を、建築やアート、映画、監視テクノロジーといった、さまざまな分野のツールを縦横に駆使した「科学捜査(フォレンジック)」を通じて、独自に調べ上げる団体だ。その型破りな仕事はアートスペースで注目を浴びるだけでなく、国際法廷でも有力な証拠として用いられ、キュレーターと人権団体の両方から称賛される半面、抑圧的な政権からは敵視されている。