タスク管理のScrapboxからの提言(倉下touch)
緒言
タスク管理のScrapboxは、専門家の集団ではなく、日々普通に仕事に励み、その中で仕事をよりよく行うために、工夫し、その結果を持ち寄って議論している人々の集まりです。
仕事をよりよく行うための工夫は、それがあまりにもあたり前に行われているがゆえに、特別なことにようには見えません。しかし、誰しもが無策で仕事に取り組んでいるわけではなく、それぞれの人の、それぞれの工夫があるものなのです。そうしたものに注目し、より積極的な意義を認めていこうというのがタスク管理のScrapboxです。
今回、タスク管理のScrapboxは、フレッシャーズのみなさんに向けて、仕事に向かう上で知っておいてもらいたいことを7つの提言といてまとめました。この提言は、かつてフレッシャーズだった自分たちに向けてのアドバイスでもあります。
このアドバイスは、再現性が担保された科学的なものではありませんが、それでもたくさんの人の経験的が集まったたしかな知見ではあります。このアドバイスが、これからのフレッシャーズみなさんに(あるいは新部署に移動になる方に)、仕事とうまく付き合っていくための助力になれば幸いです。
提言1 自分のやることをはっきりさせよう
仕事では、先生のように細かく作業を指示してくれる人はいません。自分がやることは何かについて常に注意を向けましょう。今日やること、今週やること、今年やることなど長短さまざまなスパンで自分のやることを確認しておくことが大切です。
提言2 ひとりで抱え込まないようにしよう
仕事では、グループで成果を生み出します。学校の試験とはそこが違っています。だからわからないことがあったら上司や質問する、不安な要素があったら先輩に確認を取る、といったコミュニケーションを積極的に取るようにしましょう。仕事の量が多過ぎるときも、周りの人に援助を願い出るのはまったく恥ずかしいことではありません。助け合いこそがグループの強みです。
提言3 予定と行動を管理しよう
仕事では、ひとりが担当する領域が極めて広くなっています。スパンも数分単位の作業から数年かかるプロジェクトまでさまざまです。それらすべてを記憶だけでこなすことは現実的ではありません。予定が入ったら、カレンダーで管理する。作業を振られたらタスクリストに書いておく。こうした基本の積み重ねがミスを減らしていきます。
提言4 こまかく確認しよう
仕事では、決まり切った答えがありません。解答用紙を見ればそこに解答が載っているわけではなく、状況によって適切な対応が変わり、人によってもその判断が違ってくることもあります。ですので、単独で判断せず、こまかく確認をとっていきましょう。また上司や先輩が勘違いしている可能性もあります。多角的な確認はとても大切です。
提言5 ノートを取ろう
仕事では、暗記力の高さを競い合うことはなくなります。言い換えれば、外部情報すべてを自分の「武器」にできます。なので、大切に感じたことはすべてメモを取り、必要に応じてさらに調べたり、検討したりしましょう。こうしたノートは暗記のためではなく、情報を活用するための積極的な装置になってくれます。
提言6 互いに敬意を持って接しよう
仕事では、多くの人と関係を築いていくことになります。職場において誰とも関係を持たずに仕事をするのは不可能でしょう。困ったときに気楽に相談し合える関係を築くことは、円滑な情報共有においても、職場の雰囲気においても悪いことは何もありません。むやみやたらに他人を下に見ることは弊害がありますが、へりくだり過ぎるのも問題です。お互いに社員同士であるという最低限の敬意を持って付き合いましょう。
提言7 オーバーワークに気をつけよう
仕事では、頑張らなければならない場面がたしかにあります。宿題を忘れたら先生に謝るだけですみますが、納期に遅れると数百万円の損害が生まれることもあります。あるいは、自分の仕事ができていないことで、実際に困る人が出てくる場面もあるでしょう。しかし、頑張ることは伝家の宝刀のようなもので、やたらめったら振り回すものではありません。日常的には疲れをケアして、日々一定のパフォーマンスが発揮できるようにすることも仕事の一部です。
結言 タスク管理は魔法ではない
タスク管理は、「仕事をよりよく行う工夫」であって、ありえないことを起こす奇跡の魔法ではありません。売上げを即座に倍にしたり、三段抜きで出世したり、一日を28時間にしたり、ブラック企業をホワイトに仕立て直す力はありません。本当にどうしようもなくなったら(あるいはそうなる前に)、自分の頑張り以外のところに目を向けてみましょう。それもまた、「自分のやること」であるのです。
特別な技術ではなく、ごく普通の人たちが、ごく日常的に実践していること。それがタスク管理です。
ようこそ、仕事の場へ! ようこそ、タスク管理の世界へ!