しぶとく生き残るウェブの技術
バーナーズ=リーによる最初の提案までさかのぼっても、いつの時代においてもウェブはクロスプラットフォームだった。最近はネイティヴアプリをつくるために、ウェブの技術を応用する考えが主流になっている。 例えば、GitHubが開発したオープンソースのソフトウェアフレームワーク「Electron」は、SlackやDiscordの開発に使われた。フェイスブックが開発した「React Native」は、JavaScriptを用いてモバイルアプリを開発するフレームワークとして支持されている。マイクロソフトは、パソコン用のコードエディタツール「Visual Studio Code」の開発にElectronを採用している。
必ずしもウェブブラウザーからの“転用”ではないアプリでさえ、ウェブの技術に頼る部分が大きい。Apple Newsやポッドキャストのアプリは、音による通知にウェブの「RSS」技術を使っている。そしてアプリは裏側でサーヴァーをコミュニケーションさせるために、バーナーズ=リーが考案したHTTPを受け継ぐプロトコルをいまだに使用しているのだ。
ウェブはアプリの台頭によって葬り去られる代わりに、その有用性を証明した。自身をひな型とすることで、コンピューティングを“再創造”したと言っていい