『積ん読の本』
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本を読むよりも買うスピードが上回ったまさにその瞬間から「積ん読」は始まる。部屋の片隅に、1冊、また1冊と積み上げられる「積ん読」の山を見て、人は焦り、罪の意識を覚え、自嘲するのだ。
そもそも「積ん読」とはなにか。その言葉の歴史は意外にも古く、明治時代にまで遡る。100年以上に渡って受け継がれてきた日本の読書家たちの「伝統芸」は、今や「TSUNDOKU」として世界の共通語ともなった。
そんな「積ん読」の本質に迫るべく、ブックレビュアーの石井千湖が、斯界の本読み12人の「積ん読」事情を探るインタビュー取材を敢行。ある者は「積ん読」こそが出版界を救うものだと熱く語り、またある者は「積ん読」にこそ書物の真の価値があるのだと断言する。
写真に収められた圧巻の「積ん読」の山と、「積ん読」を語るその言葉を一読いただき、読書家諸氏におかれては、ほっとするなり、笑うなり、共感するなり、感心するなり、呆れるなりしていただきたい。
飯間浩明(辞書編纂者)
池澤春菜(作家、声優)
小川公代(英文学者)
小川哲(作家)
角田光代(作家)
柴崎友香(作家)
しまおまほ(マンガ家、イラストレーター)
管啓次郎(翻訳家、詩人)
辻山良雄(Title店主)
マライ・メントライン(ドイツ人)
柳下毅一郎(特殊翻訳家、映画評論家)
山本貴光(文筆家、ゲーム作家)
*50音順
韓国には「積ん読」に相当する言葉がない
日本は幸田露伴『俚諺辞典』
書籍を購ひて讀まず徒に積み置くをいふ
人はなぜ本を積むのか?
もう家の中にはすでに読みきれない量の本があるのに、新たに本を買ってしまう。書店に行けば平気で一時間以上うろついているし、手ぶらで帰ることはまずない。
柳下毅一郎
積ん読はどこから積ん読なのか/人はどうして読みもしない本を買ってしまうのか
「通読するわけではない本、資料になる本は積ん読とはいわない」
写真集のように一度読んだからそれで終わりとならない本もある
積ん読とそうでない本の境界が微妙
買ったはいいけどもバッファとして積まれている本
本棚にしまわれていると積ん読という感じがしない
これから読むのか、すぐに読まなくても本棚に入れておくのか、それが決められない中間領域にある本
柴崎友香
引っ越し
本だけで二百箱
社会学者服部恵典 「積読っていうのは、「読まない本を買ってる」んじゃなくて「自分の図書館を建ててる」んですよね」
積んでいる本はいつ読みどきが来るかわからない
目の前にないものは存在を忘れる
すべての本がときめくから捨てられない
スラヴォイ・ジジェク方式
本を書こうとしているから書けない。これは自分の考えをメモしているだけだ。
→読書に応用する
池澤春菜
背表紙に書かれた情報がわからないと、持っていても死んだ本になってしまう
inboxとしての玄関
積ん読とはこれから読む本
読まない積ん読はない
小川哲
かっこいい本棚を目指したかったが、面倒くさいので空いたスペースに適当に突っ込んでいる
なんとなく書きたいテーマがある状態で本屋に行く
その段階ではどんな研究所があるのかはわからない
大型の書店の歴史書のコーナーには目当ての本がまとまっている
ただ買うだけでなく、お金とモノを交換することに意味があるのではないか
マイリストに実感はない
しかし他ならぬ自分が選んだ好きなものを所有したいという欲望は完全にはなくならない
人間が人間だからこそ起こしてしまう欲望が、費やせる時間を上回ったときに積ん読するんだと思います
角田光代
積ん読
読む前提だけど、時間がなかったり、タイミングが合わなかったりして、少しのあいだ置いてある本
入り口近くの机の上に並べてある
わかりやすい場所に置いておかないと忘れるので
一ヶ月に一度、本棚の日をつくって整理している
新しい本が入ってくるのでそれを整理する
ジャンルごとに整列したり、もう読まない本は古本屋さんに持っていってもらったり
前後二列の陳列はしない
背表紙が見えないとその本の存在を認識できなくなる
人が積ん読してしまう理由
新刊書店の回転がはやい説
しまおまほ
山本貴光
中学生の頃からリスト作り
ある著者が気になると、その人がかいた本のリストを作り、手に入るものを片っ端から買っていく
年に二千冊から二千五百冊ほど
通読しているのはそのうち二割ほど
残りはざっと目を通して内容をつかむが、通読したとは言えない状態
本は知識のインデックス(みたいなもの)
必要になったら読めばいい
通読していなくても、日々目に入っていて、翻訳の話ということは意識している
翻訳について考えたいと思ったら、すぐに手にとれる
積ん読が増えても気にしない
むしろ「積まなくてどうする」という感じ(笑)
電子書籍は、端末を閉じているときはまるきりないのと同じ
何の本が入っているのか思い出せなくなる
紙の本が並ぶ空間の利点
原稿のことを考えながら本屋さんや図書館を歩き回っていると、まさにもとめていた本が向こうから目に飛び込んでくる
自分の生活空間に本棚があると、ほぼ毎日目にするからどこに何が入っているか頭に入っている
努力しなくても記憶できる
背表紙があることが大事
本棚の一角に特定の本が並べてあるとする
背表紙を年代順に並べればちょっとした年表ができる
そういうことを論じている著者群の名前もすぐに把握できる
そんなに面積をとらない
→非常に効率よく知識を編集できる
だから本棚にはいらないものものすべて背表紙が見えるように積んでいる
将来の自分を助けるために、なるべく目的の本を探しやすい積み方心がけています。空間を使って、知識や創作物のマップを作っている感じです。
紙の本に直接書き込むこと
メモと一緒に本文が読める
山本さんが本を買ったらやること
本を買ったらまず奥付を確認して、著者名とタイトルと刊行年月日、購入場所などデータベースに登録します。次に目次と索引とまえがきとあとがきを読む。あとのページは一通りぱらぱらめくって、気になったところには線を引いたり、メモを書き込んだりする、そして該当するジャンルの棚に並べます。さらに精読したい本は、考えたことや調べたことを細かく書き込みながら何度も読んで、索引も作ります
本を読んでいるときに起こること
自分が頭もなかに寝かせている問題と、目から入ってきた文字が組み合わさって、それまで考えたことがない問題が浮上してくる。読めば読むほど、気になること、わからないことが増えていく。
要約はその人の関心によって変わる
AIに頼むときはそこを指示できないといけない
辻山良雄
読めないまま時間が経っても、一瞬でも出会いを感じられたなら、その本は自分と関係していると思う
積ん読は、自分が買ったときによいと思ったものを内包している
本には二つの意味がある
商品
人をつくるもの
マライ・メントライン
インテリの壁
小川公代
ビオトープ
本の入れ替えが常にゆるやかに行われている仕事場の本棚
本を買ってやること
本を買ったらざっと全体を読んじゃう
途中で立ち止まらず、一時間くらいで
大まかな内容をつかんだら、自然と行き先が決まる
直近の仕事に関係しそうな本は最前列中央のビオトープ
将来使いそうなら周囲にアル中長期的なビオトープ
積ん読
分類しただけで精読していないもの
セルフエデュケーション
ウルストンクラフト「誰にもしろと言われないものを体得すること」
読書は絶対にしなければならないものではない。しかし自由に本を読めることは人間の尊厳に関わる
飯間浩明
積ん読
積ん読になっている本があるというのは、毎日ご飯を食べています、くらいにごく自然なこと
自炊(電子化)
フォルダはスキャンした順番に100冊ずつ(ジャンルでのフォルダわけはしない)
ネーミングの例
あくま_悪魔のいる天国_星新一_d020
スキャンは大変だが、言葉を検索するのは楽しい
管啓次郎
エーコの著作は五万冊、山口昌男は三万冊
本は冊という単位で考えるべきではない
パラグラフ・リーディング
創造の本質は融合にある
本が一冊だけぽつんと孤立していては何も起きない
本が山とつまれたときに、新しい秩序が生まれる
書店や図書館では隣り合うはずのない本が、自分の手によって隣り合う