『書物と貨幣の五千年史』
目次
第1章 すべてがブラックボックスになる
1.モバイル革命とはなにか
2.スクショとデジタルトランスフォーメーション
3.インターネット革命が生み出したブラックボックス
4.管理通貨制度と電子取引が不可視化したもの
第2章 情報革命の諸段階、情報濁流の生成過程
1.情報革命の諸段階、情報濁流の生成過程
2. ルネッサンスと印刷革命
3.中世以前の書物と貨幣
4.文字・言葉・数
第3章 人間は印字されたページの束である
1.印象と心像
2.現代思想はブラックボックスをどう扱ってきたか
3.価値とシミュラークル
4.ブルシットジョブと『生きた貨幣』
第4章 物語と時間
1.文学作品に畳み込まれた「生きた時間」
2.あなたの人生の物語
3.はてしない物語
4.「話」らしい話のない未来
『書物と貨幣の五千年史』の第三章「人間は印字されたページの束である」に出てくる第三次過去把持の話は、すべノーの「ノート」の話になる。
第三章の中盤から一気に畳みかけるような感じになってきた。
記録が溢れ返る社会は、ブラックボックスに取り囲まれた社会だと言える。そういう社会の中で「自分のノート」を取ることは、可視化された内実を伴う箱を作ることであり、──農家が土地を所有するのと同じで──疎外を防ぐ有効な手段となる。
たとえばノートツール一つとっても、ブラックボックスはさまざまに現れてきて、自分の情報を好きに保存できるという点では可視化されていても、その情報がどのように保存されているか、という点ではブラックボックスだったりする。テキストファイルはその不可視性が低いし、手書きならもっと低くなる。
電子的な処理をされる決裁。中身がわからないままに使えてしまうそれら。その無理が起こす歪さは、基本的に現場が対応することになる。リテラシー不足のツケは、誰が支払っているのである。
みずほのシステム担当者6割削減とか、さっきのマクロ効率化が評価されていないことだとか、何か根本的なレベルでコンピュータに関する技術が軽視されているようなところがある。
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