ブックカタリストBC090用メモ
テーマ:『人生が整うマウンティング大全』と『話が通じない相手と話をする方法』から考える「話の聞き方」
取り上げる本
自己啓発の古典
『人生が整うマウンティング大全』
どんな本か?
(こんな方におすすめ)人間関係を円滑にする武器を手に入れたい方
書誌情報
著者:マウンティングポリス
「人間のあらゆる行動はマウンティング欲求によって支配されている」「マウンティングを制する者は人生を制する」を信条に、世の中に存在するさまざまなマウンティング事例を収集・分析し、情報発信に取り組むマウンティング研究の分野における世界的第一人者。「だれもが自分らしくマウントを取ることができる豊かな社会」の実現に向けて、我が国のマウンティングリテラシーの向上に努めることを人生のミッションとして掲げている。
【X】@mountingpolice
出版社:技術評論社
出版日:2024/2/14
目次
はじめに 世界はマウンティングで動く
第1章 マウンティング図鑑 ~一流の人こそ実践するマウントのパターンとレシピ~
第2章 武器としてのマウンティング術 ~人と組織を巧みに動かす、さりげない極意~
第3章 マウンティングはイノベーションの母 ~マウンティングエクスペリエンス(MX)を売れ~
第4章 「マウントフルネス」を実現するには ~「80億総マウント社会」を生き抜くための人生戦略~
おわりに
マウンティング/マウントとは?
霊長類の一部の動物個体間で緊張が高まるととられる擬似的な交尾行動。「ボノボ#繁殖」参照。
転じて、人間などの間で自己の優位性を態度や言葉で主張し上下関係の格付けをしあう行為。
マウントポジション
ボノボなど霊長類の一部は、群れにおける序列確認のため、雌雄無関係に交尾を伴わず行う。背乗り。
本書の定義は?
相手に対して自身が優位な立場であることを誇示する意味合いで用 いられる言葉だ。
マウントする、マウントされる、とも使われる
著者の主張は?
自分らしく満ち足りた人生を送るうえで、不毛なマウンティング競争はできる限り回避 すべきである。一方で、人間の行動の大半はマウンティング欲求によって支配されており、 マウンティングから完全に逃れることはほとんど不可能である。だとしたら、マウンティ ングを一方的に否定するのではなく、「マウンティングは現代社会を生き抜くうえで必須 の教養である」と肯定的に捉え、マウンティングを人生を切り拓くためのツールと考える
ほうが得策なのではないだろうか。
ところで、なぜ婉曲に為されるのか?rashita.icon
ポイント1:マウンティング欲求は、人間に普遍的なのものである
ポイント2:よってそれを抑えるのではなく、むしろ解放しよう
ポイント3:相互的なケアとしての、マウントフルネス
『話が通じない相手と話をする方法――哲学者が教える不可能を可能にする対話術』
どんな本か?
書誌情報
著者
ピーター・ボゴジアン(Peter Boghossian)
1966年生まれ。アメリカ合衆国出身の哲学者。主たる関心は、批判的思考や道徳的推論の教育に関する理論とその実践。ソクラテス式問答法を活用した囚人教育プログラムの研究によってポートランド州立大学から博士号を取得し、2021年まで同大学哲学科で教員を務めた。意見を異にする人びとが 互いの信念や意見の根拠について理性的に話し合うためのテクニックである「路上の認識論」(Street Epistemology)を提唱。著書に、『無神論者養成マニュアル』(A Manual for Creating Atheists , 2013)など。
ジェームズ・リンゼイ(James Lindsay)
1979年生まれ。アメリカ合衆国出身の文筆家、批評家。テネシー大学ノックスビル校で数学の博士号を取得。宗教やポストモダン思想の問題を分析・考察する論考を多数発表している。著書に、『「社会正義」はいつも正しい――人種、ジェンダー、アイデンティティにまつわる捏造のすべて』(ヘレン・プラックローズ共著、山形浩生+森本正史訳、早川書房、2022年)など。
出版社:晶文社
出版日:2024/2
原題『How to Have Impossible Conversations: A Very Practical Guide』
主題
考えが極端に異なる人と効果的にコミュニケーションをとる方法
「逆の立場」の人と生産的に会話する
第1章 会話が不可能に思えるとき
宗教、政治、価値について考えが著しく異なる人との会話はいつでも困難で、不可能にすら思える
たしかにそれは難しいが、ひさんなほどにこじれることが必定というわけではない
良いやり方と、悪いやり方がある
僕たちは、夕食を囲んだ家族の会話での意見の不一致の対処方法もしらないのにただの知り合いとソーシャルメディア上で白熱した議論を行っている
そりゃ、うまくいかない。
不可能な会話とは何か
橋渡ししがたい不一致がある
しかし、話はしてもらえる
そうした会話は避けてしまった方が簡単だけども、選択肢はあった方がいい
「〜〜に向かって演説する」と「ともに話す」
考え・信念の重要性
人々は考えに基づいて行動する
その考えは変化することもある
いいやり方と悪いやり方がある
会話はいい変え方、強制や暴力はよくない変え方(倫理的にマズイ以前に効果的でない)
開かれた会話
Conversationの「con」の意味
会話によって得られるのは、自分の信じる事柄を再考し、自分の行動を見直す機会
何ができるのか?
意見の不一致を恐れない
質問することをためらわない
真剣なやりとりで得られるものがあると信じる
本書では、そのためのテクニックが難易度順に36紹介される
ここまでが1章
第二章 入門:よい会話のための7つの基礎
目標
パートナーシップ
ラポール
傾聴
伝令はむしろ撃て
意図
引き際を見極めること
1. 目標
会話の目的・目標は何か。それを特定しておく
「なぜこの議論をするのか?目標は何なのか?自分はどうしたいのか?」
目標は1つに限らなくてもよい
確固たる目標がなくてもよい
会話の途中で変えてもいい
ともかく目標を把握して、その達成に有効な会話のテクニックを使うこと
2. パートナーシップ
トピック:朝鮮戦争のアメリカ人捕虜が北朝鮮に亡命したのはなぜか
訓練所での洗脳が解けた
コミュニケーション(他者の考えを変える、人々に影響を与える、人間関係を築く、友情を保つ)の上で大切なこと
親切さ、思いやり、共感、尊厳を持った言葉遣い、これらの配慮のすべてを心理的に安全な環境で発揮すること
二つのアプローチ
話をよく聞き、親切で、丁寧な言葉遣いをし、敬意を見せてくれる人には、こちらも好意的に応答する
敵対的な関係と安全が脅かされるような環境を用意すれば、相手を持論に固執させ、不和を引き起こし、不信の種を蒔くことになる
どうすれば前者に至れるか
相手を会話のパートナーだと見なす
会話を共同作業だと捉える
敵対者という認識からパートナーという認識にシフトさせるには?
目標を「勝つこと」から「理解すること」にシフトする
「この人は敵であり、私の言うことを分からせてやらなければならない」
↓
「この人は会話のパートナーであり、彼からは学ぶことがある」
たとえば、どういう敬意で今現在の考えを抱くようになったのかを理解する」
不可能に見える会話が実は可能であると気づくための鍵
議論というものは、双方が自然と何かを学べる環境だと気づくこと
それは、空いての結論を受け入れたり、議論の筋を認めることを意味したりはしない
人と一緒に考えるということは、何を信じているのかを理解するだけでなく、どうして信じるようになったのかを理解することも含まれる
で、他人の振る舞いはコントロールできないわけだから、まず自分が理解に努めるようにする
パートナーシップの形成方法
自分の目標が「共同作業」「理解」であることをはっきりさせる
パートナーが余裕を持てるようにすること
いつでも会話をやめられるように
準備ができていない空いてに無理維持しない
「どうして空いてはこんなことを信じるようになったのか」を自分自身に問う
誠実に問う
不信感ではなく(修辞疑問ではなく)好奇心を持って
3. ラポール
アンソニー・マグナボスコ(Anthony Magnabosco)の会話の入り方
路上の認識論(Street epistemology)
心を通わせ、会話を心地よく感じられるように配慮してから込み入った問題に入る
2分間の雑談
ラポール
心が通じ合い、互いに信頼しあい、相手を受け入れている状態
親近感の一種
フランス語で「橋を掛ける」という意味
雑談によってラポールを築く
シンプルで有効的な雑談において重要なのは、分断をもたらすような話題を避けて人々を結びつけること
誠実な質問を心がけること
本当に答えを知りたいことを聞く(議論上の戦略としてではなく)
「まずは友人であれ」
ラポール形成の方法
1. ただちに形成
2. とっかかりの質問
3. 共通の土台を見つけること
(サイコパスを除いて)人は善きものを求める感情がある
4. パラレルトークをしない
「そういえば、……と言えば」
5. 関係の形成に精力を注ぐ(政治的な見解は脇に置いておく)
6. 中身のある会話はそのための時間を割きたいと思えるときだけ
7. 他のことも話せるように
8. コールアウトは避ける
9. 礼儀正しくあること
4. 傾聴
話を聞かなければ、相手を理解することはできない
相手を理解することができなければ、会話などというものは存在しない
しかし、聞くことは難しい→練習が必要
傾聴のポイント
1. ゆずる
2. 相手の方向を向く
3. さえぎらない
4. 間を大切に
5. 気が散るものに注意
6. 自分が理解する責任を持つ
7. 相手の感情を理解しようとする(怒り、憤り、不快感)
8. 注意が逸れたら素直に謝る(逸れ続けるなら切り上げるタイミング)
9. さえぎられたときに、同じところからはじめない
10. スマートフォンはいじらない
11. 「なるほど、わかります」(I have hear)
5.伝令はむしろ撃て
「伝令は撃つべからず」という諺があり、それに引っかけている
伝令のようにメッセージを伝えようとしてもうまくいかない
伝達されているということ自体を拒絶するから
メッセージを伝えようとしてもうまくいかない
伝令(メッセンジャー)は分断を超えることはなせないばかりか、雑談すらできない
会話はやりとりだが、メッセンジャーは一方通行で運ばれる情報
伝令的スタンスは、自分の信念に肩入れした上で聞く側は話をきちんと聞き、議論を受け入れるのが当然という感じになってしまう
政治的な内容ではんくても、メッセージがきちんと受け止めてもらえることは稀
たとえば、臓物肉を使う理由について議論を受けた主婦と自分たちでそれを考えた主婦は後者の方が受け入れる傾向が高かった
rashita.iconこれは悪用もできる
注意点
「もし相手がこちらの話をきちんと理解してくれたら、考えを変えるはずなのに」は危険信号
相手は、今の自分では理解できていない仕方で問題を理解している
伝令に伝令で返さない
質問する
相手からそうして欲しいと言われた場合は、伝令になる(ただしすぐ終わること)
6.意図
「悪いことを望むような人はいない」
私たちは善いことを為したい欲求があるが、体系的な知識がなければ、正しい結論には至れない
劇的に異なった考えを持つ人に出会ったら、その人が無知か狂っているか邪悪だと思ってしまう
その第一直感に抗うこと
単に別の視点から見ているに過ぎず、その人が持つ情報で最善を尽くしているのだ、と。
意見の不一致があると、パートナーの意図や動機を実際より悪くとってしまう
そうなると、自分も相手の話を聞けなくなってくる
善を為す意図があると想定する(荒しやサイコパスは例外)
方策
誤解されても相手を説得しようとしない
好奇心モードに切り替える
苛立ちやモヤモヤがあることを自分で認めること
荒しに燃料を投下しない
7. 引き際を見極めること
どのタイミングで切り上げるのかを知ること。会話がうまくいっているときですらそのタイミングはある
パートナーの受忍限界(コンフォート・レベル)を超えてでも会話を続けようとプレッシャーをかけると、相手は聞く耳を持たなくなり、自己防衛的になった末、会話の質が変わってしまう
手詰まりになったら、無理に修復やリセットをしようとせず、平和的に分かれる
考えが変わるのには時間が必要
考えが変わるのはゆっくりで、しかも個人の心理や習慣それぞれに合った仕方で変化は怒る
会話を終わらせる方法
苛立ちの感情が目立つなら終わりにする
呼吸して整えて、それでも無理なら終わりにする
相手が終わらせたいようなら終わる
相手が疑いを持ちはじめたら終わる
感謝を伝える