ブックカタリストBC088用メモ
取り上げる本
ネットワークの形について考える
「弱い絆」を考え直す
書誌情報の確認
原題:『CHANGE:How to Make Big Things Happen』
出版日:2024/1/25 (原著:2021)
出版社 :インターシフト
著:デイモン・セントラ
ペンシルヴェニア大学のコミュニケーション学、社会学、工学の教授。
翻訳:加藤万里子
概要
変化についての本
中心となる主張:変化はウイルスのようには広まらない
社会的ネットワーク研究
物事がどう広まるかを研究する
新しい行動の拡大は、どのように予想できるか?
変化はどのように作用し、なぜしばしば失敗するのか
現象の説明と、戦略を提示する
第1章インフルエンサーは変化を起こせない
従来の考え方「変化はウイルスのように広まる」
ひとりが感染すれば、集団全体に広がる
そこから「インフルエンサー」やインフルエンサー・マーケティングが出てくる
シンプルなアイデアや情報ならば有効な考え方
真の変化を作り出すには、情報を広めるだけでは足りない
人々の信念と行動を変えなければならない
Twitterの事例で考える
2006年スタート→2007年のSXSWで大人気
2009年4月オプラ・ウィンフリーが番組内でツイート→一気に2800万人
成功の原因ではなく、結果
2月までで800万人、4月までに2000万人
「どうやってオプラに広めさせた?」という捉え方では構図を誤る
中心ではなく(社会の)周縁が大切
セカンドライフのエアロスミス・ジェスチャーの事例で考える
調整(コーディネーション)問題
流行の最先端にはいたいが、早すぎて浮くのは嫌
つながりが多いユーザーほど、イノベーションを受け入れる可能性が低い
総数ではなく、割合に影響を受ける
対抗影響力
ネットワーク科学
1944年 ポール・ラザースフェルド「オピニオンリーダー」
ラジオのイメージ
発信源1に対して、受信者多数
オピニオンリーダーのイメージ
発信源1が少数に影響を与え、その少数が多数に影響を与える
マルコム・グラッドウェル「少数者の法則」
インフルエンサー神話
ターゲット・マーケティング、インフルエンサー・マーケティング
人々のコンタクトが巨大な幾何学パターン(トポロジー)を形成している
人々ではなく場所に注目する
1994年までに、カールによってベルリンの社会的抗議がどのように起きたのかの分析はなされていた
人のネットワークが社会変化の重要な要因であることは判明していた
実際にそれが「観察」できるようになる技術が登場した
活動家アスマー・マフーズ/アスマー・マフフーズ(Asmaa Mahfouz)
エジプト革命/4月6日運動/アラブの春
SNSの分析
インフルエンサーは行動の中心にいない
ネットワークの形
ハブアンドスパーク/インフルエンサーモデル
ネットワークの周縁/「自分たちと同じ選択肢や困難に直面する人」
重要人物が特別なのではない
ちょうどいいときに、、ちょうどいい場所にいた
ヒーローは「位置」(場所)
第二章 「弱い絆」と「強い絆」、どちらが重要?
弱い絆はリーチをもたらす
強い絆は情報の伝播において効率が悪い(冗長性)
弱い絆には限界もある
大きな変化はリーチではなく冗長性によって伝播する
冗長性は「はしか」の伝播には役立たないがアイデアを規範に変えるときに役立つ
Twitterの人気は地域的に拡大した
近い地域に少しずつ移っていった
サンフランシスコからボストンへのジャンプ
現代の強い絆は物理的な空間の制約がない
人間の生活に違いをもたらすのは、つながりの数だけでなく、つながりのパターンでもある
つながりのバランスが大切
コンタクトの圧倒的多数は地理的に近い場所にいる
第三章 すぐれたイノベーションが失敗するわけ
新しい解決策をもっとも求めている人たちが、しあしばイノベーションを拒否する
グレープフルーツ問題
Googleグラスの失敗
認知度と差別化
Google+の失敗
認知度と利用者不足
第2部: 複雑な伝染インフラを作る
第4章 変化が起きる仕組みを知る
単純な伝染と複雑な伝染
複雑な伝染とは人々に抵抗される伝染
社会的補強が必要
4つの障壁
連携
信頼性
正当性
高揚感
イノベーティブなものは、エントレンチメント(塹壕)
弱い絆のネットワークは花火に似ている
リーチはあるが強調や連携は育てない
強い絆のネットワークは漁網のよう
ネットワーク・クラスタリング
第5章 「複雑な伝染」はどう拡大するか
ボットを礼節と社会貢献の促進に使えないか?
第6章 ネットワークに「広い橋」を築く
広い橋と狭い橋
どちらが有用なのかは何を為したいかで決まる
情報共有か知識移転か
情報ブロカーになりたければ狭い橋
第7章 自分に似た人の影響力
新しい行動を取り入れるとき、どんな人に影響を受けるか?
あこがれ? よく似た人?
●第3部: 成功へのティッピング・ポイント
第8章 社会を変化させる方法
調整のジレンマ
他人の心を読むことが必要
本心を隠す人が増えれば増えるほど逸脱者と見られないように社会規範を実践しなければならない
規範は秩序を生みだす
規範を変えるには、うまくいっていることを壊す必要がある
言語ゲームとは、調整ゲーム
第9章 25パーセントが変われば劇的に広まる
25パーセント
SNSをおしゃべりで埋め尽くす(言論の方向性)
ティッピング・ポイントを引き起こすために、改革者は誠実である必要すらない。ただ献身的であればよい
第10章 「雪だるま」戦略が効く!
内省的錯覚
人はしばしば他人の選択を同調圧力のせいと考えるが、自分についてはめったにそう思わない
人の行動を変える社会的影響は、本人の視界の外で生じることが圧倒的に多い
人は自分の行動を、実際に起きていることではなく、心のなかでどう感じているか、という観点から説明する
自分にとってもっとも効果的でないと思っている方法が、もっとも効果的だったりする
三つの戦略
散弾銃
特効薬
雪だるま
●第4部: イノベーションを最適化する
第11章 発見や革新をもたらす力
ブロードウェイのヒット作の源泉
成功するイノベーションは、創造性と連携のバランスをうまく取る
単純な問題の解決から学んだ戦略は、複雑な問題の解決にも役立つか?
花火ネットワークの問題は、よい解決策の伝播が速すぎる
発見にも社会的クラスタリングが必要
情報の多様性を維持する→知性の多様性を維持する
情報の伝播効率が劣るネットワークのほうが、探究には効率的
第12章 集団のバイアスをいかに取り去るか
動機づけられた推論
強い信念を持つものは、容易に考えを変えない
フレーミングの問題
広い橋、フレーミング、ネットワークの集中化
現状に挑む新しい意見は、適度につながったネットワーク周縁からもたらされる
第13章・・7つの戦略で変化を起こす
7つの戦略
戦略1 伝染力に頼らない
戦略2 イノベーターを守る
戦略3 ネットワーックの周縁を活かす
戦略4 広い橋を築く
戦略5 関連性を生み出す
戦略6 雪だるま戦略を使う
原則1 コミュニティとその境界を知る
原則2 橋渡しグループをターゲットにする
戦略7 発見を促し、バイアスを緩和できるチーム・ネットワークを設計する
アフタートークの話題
読んだ本
『一度読んだら絶対に忘れない哲学の教科書』
『センスの哲学』
春アニメ
怪獣8号