ブックカタリストBC062用メモ
どうしても変えられないのはどうしてか
著者
タイトル
原著のタイトル「Hard to Break:Why Our Brains Make Habits Stick.」
脳神経科学や心理学の知見から「習慣」と「行動変容」について解説する。
ポピュラーサイエンス的な要素も多い。
習慣とは何か?
心の機能の基本的側面
人間の大半の行動が習慣(良い習慣、悪い習慣、フラットな習慣)
習慣(≒人間の行動)は変えるのが難しい
変えるのが難しいから役立つ
身体的なものもあれば、心理的・感情的なものもある
習慣の定義
その1:習慣とは特定の刺激や状況によって自動的に引き起こされる行動や思考(意図は不要)
その2:習慣は特定の目標に結びつくものではない(トリガーがあればOK)
その3:強固な持続性がある(I shall return)
ウィリアム・ジェームズ「すべての教育において重要なことは、神経系を敵ではなく味方にすることである。……そのためには、できるだけ早い時期に、できる限り多くの有用な行動を、自動化し、習慣化しなければならない」
「読む」という技能
ストループ効果(インクの色と文字の色の不一致)
習慣はどのように研究されているか?
齧歯類 or 単純な行動
スキナーボックス
その行動が「習慣」であるかどうかはどう判断するか?
目標指向型の行動と刺激反応、あるいは習慣的な行動
なぜ人間(の脳)は習慣的な行動を獲得してきたのか?
この世界は基本的に多くの面で安定している、という事実
しかし、変化も起こる→「安定性と可塑性のジレンマ」
→いかにしてこのジレンマを乗り越えるのか?
行動変容に向かうには「行動」を理解する必要がある
流れ
第二章は脳のメカニズムにおける習慣の生成
第三章は習慣の持続性が強固な理由
第四章は脳の記憶システムの連携
第五章は意志力や自制心
第二部は行動変容について
脳内には複数の記憶システムがある
過去の出来事を意識的に思い出せる記憶システム→宣言的記憶システム
過去の出来事を意識的に思い出すことが不要なタイプの記憶システム(習慣、技能)
海馬の損傷でも学習はできる
単語の暗記と鏡像文字の試験
コルサコフ症候群(チアミンの欠乏によって生じる脳障害)
ハンチントン病(大脳基底核、タンパク質異常)
大脳基底核
線条体(尾状核、被殻、側坐核)、淡蒼球(外節・内節)、視床下核、黒質や腹側被蓋野の一部
大脳皮質のさまざま領域とニューロンの接続がある
→中型有棘ニューロン(抑制)→直接路 or 間接路
直接路
線条体→淡蒼球内節→視床→大脳皮質(皮質線条体ループ)
関節路
線条体→淡蒼球外節→視床下核(STN/興奮)→淡蒼球内節
ルート選択はどうなっているか?
中型有棘ニューロンのグループによって違う
そのグループは何が違うのか?→ドーパミン(神経調整性)
ドーパミンとシナプス可塑性
三因子ルール
「ドーパミンが存在するときは、同時に発火する細胞の結合が強くなる。ドーパミンが存在しないときは、同時に発火する細胞の結合が弱くなる」
報酬予測誤差
強化学習「意思決定者は、取りうるすべての行動がもたらす価値の予測に基づいて行動を選択する」
ドーパミンの複雑な振るまい
さまざまなものに反応している
ドーパミンは「動機づける」
likingではなくwanting
「どれだけ好むのかではなく、どれだけ欲しがっているのか、どれだけ努力しようとするのか」
行動選択において大脳基底核とドーパミンシステムが中心的な役割を果たしている
習慣の復活(マーク・ブートン)
"私たちが古い行動を新しい行動に置き換えるとき、実際には古い行動を忘れてしまうのではなく、新しい行動が現れやすいように古い行動を常に抑制している”
→学習が行われるコンテキスト(状況、環境)が強く関わってくる
→曝露療法
習慣の形成
目標指向学習→運動回路が徐々に習慣を学習しはじめる→認知回路にとってかわる
らせん状のひねり
ラットの熟考
線条体による行動のチャンク化
自分で何かを決めた感覚→複数の決定システム
反射、条件反射、目標指向行動
習慣はこの二つの間に位置している
プラス迷路
場所学習
反応学習
二つの学習の競合
試行錯誤型、対連合型の課題
教師あり学習と教師なし学習、強化学習
効果の法則 エドワード・ソーンダイク
モデルフリー強化学習とモデルベース強化学習
モデル、認知的な地図、構造化された知識
気が散るときはモデルフリー制御が採用されやすい
前頭前野と自制心