フランクファート事例
H・フランクファートが「他行為可能性と道徳的責任」において、他行為可能性が道徳的責任の必要条件であることを否定したときに用いた例。
まず他行為可能性原理(PAP)の理解から。
人が自分の行ったことに対して道徳的責任があるのは、それ以外の仕方で行為できたときのみである
これを踏まえた上で、奇妙な例が提示される。
XがYを殺したいと思い、それを実行した。しかし、ZもYを殺したいと思っていたのだが、自分でやるのは気が進まずXがそれをしてくれたらいいなと思っていた。そこでZは、Xに催眠術なり脳内チップを埋め込むなどして、ある時点になってXがYを殺そうと意志していなければ、そう意志するように仕向けた。つまり、どうあってもXはYを殺さずをえず、しかしXにはその罪の責任が問われる。
よって、他行為可能性原理は十分ではないと否定される、という話の流れ。
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