父と息子と細い月と明けの明星と
私の2019年の初夢は「トイレ」でした。夢というよりは目覚める瞬間の映像でした。それは、バリアフリーリフォームしたばかりの、友人T氏宅のトイレでした。ですが友人宅には、そんなトイレはありません。大晦日の打ち合わせで、トイレを使いやすくしたいと依頼されたばかりなのです。この話はさておき、この友人T氏から学ぶことがあったので、自分のために、記事にしておくことにします。
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初日の出です。私の家からすぐに行ける、江戸時代に砦だった高台に登りました。友人T氏とは、もちろん当麻さんのことです... 愛すること。生きること、月( 2019.01.02) hr.icon
2018年末の最後に打ち合わせは、友人T氏からでした。
90代のお父様は、最近になり体力が低下してきたそうです。
お父様のために、トイレを使いやすくしたいとの要望でした。
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私も永くお世話になっている、お父様です。
おそらく、本人がひとりでトイレに行くのではなく、
友人T氏がベッドから、トイレまで連れて行き、
トイレでのお手伝いをすることになりそうです。
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ですが友人T氏宅は、和風住宅の趣があるお住まいです。
技術者や指導者でもあったお父様が、思いを込めて建てた家です。
どの様な仕事をしようかと考えていた所、初夢に現れたのでした。
初夢で見たトイレは工夫されていて、なかなかのアイディアでした。
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さて話は、大晦日の打ち合わせに戻ります。
「父のために、寝室脇のトイレを使いやすくしたい」との要望でした。
ちょうど、そのお父様の寝室脇にある応接室で、
コーヒーを頂きながら、打ち合わせすることになりました。
すると数分おきに、隣りの寝室から「お呼び」がかかるのです。
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お父様からの「お呼び」は、トイレだけのことではなく、
少し横を向きたい、枕の下にタオルを入れてほしいなど、
私から見れば、どうでもいい様なことにも思えました。
友人T氏は出向くと、大抵の用事は1分も経たずに終わり、
お父様の寝室から、応接室の私の向かいのソファーに腰掛け、
カップを手にするといなや、またすぐに「お呼び」がかかる、
そんなことが繰り返されるのです。
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その度に友人T氏は寝室に出向き、お父様に優しく声を掛けます。
今度は何かな...
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私は父に対して、友人T氏と同じ様に優しくできるだろうか... 。
果たして自分もそうできるものなのか、自問していました。
私は父に対して、父である以上に、建築の師匠とも思っている節があり、
振り返ると、父のわがままを、たくさん受け入れてきましたが、
私は父の世話をするにしても、こんな優しくはできないだろう。
聞こえてくるやりとりに、ひとり私は驚き、感動していました。
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今日(1月2日)は、深夜2時から「お呼び」がかかったそうです。
友人T氏は、ほんとうは大変なのでしょうが、ちょうど未明からの、
月齢26の細い月と、明けの明星、金星の大接近を観望できたと、
楽しそうでした(私まで起こされました...)。
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息子とはいえ、何回も何回も頼むことを、
きっとお父様は、心苦しく思っていることでしょう。
ここ数日、お父様からの「お呼び」は少なくなったそうです。
私もそう遠くない時期に、同じ様な場面と出会うことになるので、
友人T氏に、詳しく話を聞きました。
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応接室にいて、すぐに行ける時は、
「俺はすぐに行けるよ」と伝えて、安心してもらう。
そして、何回も呼ばれてしまう時は、
「できれば、1回で済むと助かるな」と優しくお願いする。
買い物に出かける時など、お父様をひとりにしてしまう時は、
「留守にしてしまうから、我慢してね」とお願いする。
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そして、「留守にしてしまうから、我慢してね」と言うと、
お父様は決まって、こう言うそうです。
わかった。気をつけて行ってこいよ
またお父様は、こんなことも言うそうです。
そんなときは、そんなときは
心配してもしなくても、結果は同じ
私は、友人T氏のお父様を、良寛さんに重ね合わせたのでした。
『災難に逢う時節には災難に逢うがよく候』
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