bFaaaP:未知なる装置の初めの一歩
https://gyazo.com/f5c13d548bbea58babee7cbbfe59eff3
山形県西村山郡の山々に囲まれた集落の、父が10代まで過ごした実家は今はない。私の永遠のライバルである父は、この茅葺き屋根の下で暮らしながら大工修行した。大工なのだが山々に囲まれた集落では、「家を建てるだけが依頼ではなかった」と父はいう。
https://gyazo.com/740cc3bc74671b084aabbca929fd44ec
父から聞いた昔話の中で私がもっとも脱帽したのは、集落の林業を営む人たちから「伐採した木を運搬する方法を」と相談された話だった。伐採した木を滑車に釣り上げ滑走できるよう、谷をまたぎワイヤーを架けたという。さぞ喜ばれたのだろう。この話をする時の父はいつも自慢げだった。
https://gyazo.com/f2dfb9ea16730e68224bfe24ca18719a
それから60年後、こんな装置を作るとは何かの因縁なのだろうか。重しを載せた怪しげな白い箱。バリアフリーピアノペダル第1号『bFaaap-1』。「ピアノペダルを電動にし、頭の動きに連動させ踏み込める様にしたい」この未知なる依頼に答えるために、どんなものでもいい、まずは動く装置を作ることから。
https://gyazo.com/05fa3491182e1b2d16ee85535b64c675
もし父がこの依頼を受けたならと想像してみた。演奏者の頭とピアノペダルとを結ぶワイヤーを、ピアノ上の天井に取り付けた滑車を経由し、ペダルを頭の動きに連動させただろうか。だが60年後には、ジャイロセンサとマイコンボードで頭の動きをセンスし、モーターへと伝える手段があるのだ。
https://gyazo.com/52e9a7e0cb9592052cbfbea98f5c4c8b
演奏者の意思ではなく楽譜に合わせ自動的にペダル操作する、AI(人工知能)技術により楽譜に合わせて自動演奏する装置は、すでに商品化されている。たとえ便利で上手に演奏できるにしても、その様な装置は私たちの目的ではなかった。演奏者の苦手なことだけをアシストしてくれるだけでいい。
https://gyazo.com/8a28866ef2c0aeef37c23af26c335b40
子どもたちや車いすユーザーがピアノを楽しめる、バリアフリーペダルシステム。「barrier-Free assist as a Pedal」から、「bFaaaP(ビーファープ)」と名付けた。ダイバーシティ&インクルージョン「あたり前のことが、あたり前にできる」様にしたい。bFaaaP開発当初からの一貫した思想だ。
hr.icon