村上 隆
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世間の価値基準を徹底的に分析して、最大級に利用したアーティスト
自分の描きたい作品をただ描くのではなく、『どうすれば芸術家として評価されるのか?』を客観的に追求
作品は広まって人に見てもらわないと意味がない
自己満ばかりで表現しても一流にはなれない
【客観性と芸術性】
芸術界で成功するルール
作品の核心と歴史を相対化し、発表する
そのためにも歴史を学び、作品に生かしていく努力が必要
現代アート業界を客観的に観察し、評価の基準は下記であると分析
新たな手法の発明や、新たな解釈を切り開くことに価値がある
例)
パブロ=ピカソ:『キュビズム』の手法を発明
マルセル=デュシャン:『対話するアート』という解釈の切り開き
『スーパーフラット』と呼ばれる新たな芸術様式を確立
新たな芸術様式として高く評価され、現代アーティストとして確固とした地位を築くのに大きな役割を果たす
スーパーフラットとは
理論の核:今日の日本のマンガやアニメにおける平面性は日本の美術における平面表現の延長である
表現技法:平板で余白が多く、奥行きに欠け遠近法的な知覚を拒む平面的な視覚表現
メッセージ性:戦後の日本社会の無階層的な大衆文化の表現
無階級社会や一様で均質的なポップカルチャー
【戦略1:逆輸入】
戦略ゴールを下記の3段階で設定
step1: 本場の欧米で成功する(現地潜在顧客のニーズを徹底的に分析し、満たす)
step2: 海外での成功事実を日本に持ち込み、日本人のニーズにあった作品を逆輸入する
step3: 再度、欧米にて、自分本来の持ち味を理解してもらえるよう、作品づくりを行う
戦略の背景
日本の美術界では全く売れなかった&日本に存在するアート界の構造・システムに疲弊し、戦略的に海外へ
お金持ち (資本家) がアーティストを支えるという西欧と日本の社会構造の差
日本の頼るべき資産は技術、欧米の頼るべき資産
海外での成功→日本へ逆輸入
海外で評価されたモノをすぐ受け入れる日本人像
海外で評価されると、「世界的に有名な現代アーティストである」と日本でも認知されるように
【戦略2:ブランディング】
世界の中心的なアーティストとして活動していくには、自分自身のブランディング化が重要
ブランディングを成功させたストーリー性とコミュニケーション能力
作品の技術・品質以上に、説明できる「物語」(ストーリー)をもたせ、そして、それを十二分に伝える
1/ストーリー性
個人史はブランドの基本。生きてきた蓄積がブランドになる
ニュースを提供し続けることがブランディングになる
実力にプラスしてストーリーがあることで、作品の価値が上がる
ストーリーを通じて、機能を論理的に理解してもらうのでなく、感情面に訴える・共感を得る
「作品がよくなくてもそこにドラマが付加されれば、ゴッホのように生き残ることができる」というしかけが、現代美術における発明
過剰広告・価格競争・技術革新・情報革新の結果、商品やサービス間の差は現状ほとんど無い
選んでもらい、長く使ってもらえるためには、ストーリー性で差別化する必要がある
例)
村上氏のストーリー性
マイノリティで日本から来たアーティスト
東京藝術大学で次席だったため、日本画家への道を断念
36歳まで廃棄のコンビニ弁当をもらって食い繋ぐほど困窮 などなど
2/コミュニケーション能力
価値を伝達できる仕組みを作る
価値・概念を積極的にプレゼンする
事実を真面目に伝えても相手はつまらないため、伝えることを娯楽と考えて面白く伝える
外見以上の理解を求めるなら、翻訳に投資するべき
翻訳対象の一つである“ 絵のサブタイトル(副題)”を、特に重要視し作品価値を最大表現
海外で成功するには単に海外のマネをするのでなく、日本人としての素材を用い、むしろその味を濃くしてアピール