プロの撮り方 構図の法則
Chap.1 視覚認知のメカニズム
視覚処理の2つの方向性
トップダウンな視覚処理=概念から構成要素へ
ボトムアップな視覚処理=要素の統合により高位形状へ
構図はボトムアップ処理による「注意」と特に関連を持つ
ネガティブスペース(余白)
被写体の動きの可能性・予期と関連を持たせる
例)棒を振るう人間の周囲、車の走っていく草原と轍、走っている動物の前方空間
ゲシュタルト理論
要素の組み合わせにより意味が認知されるときに快感が生じる
プレグナンツの法則=共通点、対称性、調和、秩序、構造性などを自然と見出してしまう傾向
斜めだったりボケた画像に動きを感じるのもこの一部
6つの意味を引き出す要因
図と地のコントラスト
類似(形、大きさ、色合い、色調、質感、明暗など)と反復(+例外)
近接
閉合(隙間が勝手に埋まって見える・隠れたパターンが浮き出て見える現象)
連続(視覚要素の継続、集中)
対称性
その他の重要な要素
連続性:空間的併置が時間の流れを連想させる
恒常性:色や大きさ
多重安定性(e.g., ルビンの壺)
視線の誘導
下から上へ、左から右へと動く傾向
出発点=注視点を作ってあげること
Chap.2 構図の原則と指針
ラバットメント
フレームと辺を共有する正方形を意識させると目に心地が良い
三分割法
縦横三分割線や交点に被写体を置く
黄金分割・動的分割
対角線に直交する線を意識する
対角線方式
四隅から45度で伸びる線が交わる点に被写体を置く
ビジュアルウェイトの均衡
遠いほどに重い意味合いが生じる。左右で均衡を作るのが一つの方法
方向
左から右への動きを自然に感じる傾向
ピラミッド構図
中央の重要な被写体の左右にサブの被写体を置く
視線を引きつける点の配置、要素同士の引き合い
動きのある被写体、ストーリーテリング的な要素は優先度が高い
縦位置と横位置
広がりか奥行きや高さか?想定する視線のルートは?
正方形はパターン的な被写体に向いている
フレーミング
フレームに近接した位置に物体があると貼り付いて見え、意識が向いてしまう
被写体を見切れさせるか、被写体の配置を分散させることでフレームが気にならなくなる
フレーム内にフレーム的要素を入れることで意味を強調できる
動的な緊張感
あえて水平を崩す、配置のバランスを悪くするなどで不安感や動きを演出できる
Chap.3 デザインの要素
方向を示す線・暗黙的な線の示唆 → 視線の誘導
応用:砂時計効果(円錐型の収束点への注意)
分断する線
水平線は自然に見えるが、垂直線には不自然さを感じることが多い
斜めの線
\の方が/よりも安定して感じる
水平な線をあえて傾けることで動きが生じる
収束する線・曲線
大きさの恒常性と組み合わせて遠近感を生む
余白(ネガティブスペース)の形にメッセージを込める
大胆な形=人工性
大きさの強調・対比
山に米粒状の登山者を入れるなど
ライティング・被写界深度による立体感演出
遠近法
空気遠近法(遠くはチリにより白っぽく、レイリー散乱で青味がかる)
線遠近法
Chap.4 色調と色合いの役割
トンネル出口効果
暗い部分から明るい部分へと視線が誘導される
コントラスト
コントラストが弱い写真は視線を自由に動かすことが出来る。逆も然り
進出色=黄色、赤
後退色=寒色
色の重み:赤>青
Chap.5 理論を実践する
(繰り返し内容を省略)
知覚の曖昧さの利用
主従の対比(類似性とコントラスト、視線誘導の応用)
撮影者の意図を伝達できる視点を選ぶ
単純化
主役のインパクトを増す方法
1. それで画面を埋めてしまう
2. 背景を整理して被写体を浮かび上がらせる
3. 被写界深度を浅くする
4. 視線の動線を配置する
5. ライティングで図と地を分離
6. 動いている被写体を流し撮り
7. 効果的なフレーミング