第3章データリンク
データリンクの役割
データリンク層のプロトコルは通信媒体で直接接続された機器間で通信するための仕様を定めている。
通信媒体はツイストペアケーブル、同軸ケーブル、光ファイバー、電波、赤外線など。
物理層では2進数と光の点滅や電波の強弱、電圧の変化を行うのは物理層で、データリンク層はフレームにまとめて相手の機器に伝える。
データリンクの技術
MACアドレス
データリンクに接続しているノードを識別するために利用される。
イーサネットやFDDI、 無線LANやBluetoothではIEEE802.3で規格化されたMACアドレスが使われる。
48ビットの長さを持ち、NICの場合はROMに焼きこまれており、同じMACアドレスがつけられているNICは世界中で1つしかないことになっている。
1ビット目は0 or 1(ユニキャストアドレス or マルチキャストアドレス)
2ビット目は0 or 1(ユニバーサルアドレス or ローカルアドレス)
3〜24ビットはベンダ識別子
25〜48ビットはメーカーが製造したカードごとに違う数字の割り当てる
厳密には世界で唯一とは限らないが、それが同じデータリンクになければ問題にならない
マイコンボードでは利用者がMACアドレスを変更できることがある
仮想マシンのMACアドレスはソフトウェアで作成しインターフェースに割り当てて使っているため
媒体共有型ネットワーク
通信媒体を複数のノードで共有するネットワーク
コンテンション方式
データの送信権を競争で奪い取る方式でCSMA方式とも呼ばれる。
複数ステーションからデータが同時に送信された場合は互いのデータがコリジョンして壊れるためネットワークが混雑すると急激に性能が落ちる
搬送波がなければデータ送信を行う、コリジョンが発生した場合は送信を取りやめて乱数時間待ってから送信をやり直すなどの制御が行われている。
トークンパッシング方式
トークンと呼ばれるパケットを巡回させて送信権を制御し、トークンを持っているステーションだけがデータを送信することができる。
コリジョンが発生せず、平等に送信権が回ってくるためネットワークが混雑しても性能があまり低下しない。
混雑していない時のデータリンクの性能を100%出しにくくなる。
アーリートークンリリース方式やアペンドトークン方式、複数のトークンを巡回させるなどの手法がある。
媒体非共有型ネットワーク
ステーションはスイッチと呼ばれる装置に直接接続され、そのスイッチがフレームを転送する。
ATMや最近のイーサネットで主流になっている。
1対1接続で全二重通信の場合には衝突が発生しなくなるのでCSMA/CDは不要になり効率の良い通信が可能。
スイッチに高度な機能を持たせることで仮想的なネットワークの構築やデータ流量の制御なども可能になるが、スイッチが故障するだけで接続された全てのコンピュータ間の通信が不可能になってしまう欠点がある。
MACアドレスによる転送
同軸ケーブル上で利用されるイーサネットなどの通信媒体を共有する方式では同時に一つのホストしかデータを送信できないため、ネットワークに接続されるホストの数が多くなると通信性能が下がる。
ハブやコンセントレータと呼ばれる機器によってスター型に接続されるようになると、媒体非共有型で利用されていたスイッチ技術をイーサネットなどでも利用できるようにするスイッチングハブやイーサネットスイッチが登場。 データリンク層における各フレームの通過点では、そのフレームの宛先MACアドレスを見て転送表を参照し送出するインターフェースを決める。
MACアドレスには階層性がないので転送表のエントリはそのデータリンク内に存在する機器の数だけ必要となるため、機器が増えれば転送表が大きくなり検索時間も長くなる。
ループを検出するための技術
フレームが永久に回り続け、最悪はネットワークをメルトダウンさせてしまう。
ブリッジを使う場合に限り、ブリッジでループのあるネットワークを構成しても問題なく通信できる。
VLAN
ネットワークの配線を変えずにネットワークの構造を変えることができる。
イーサネット
イーサネットの接続形態
端末とスイッチの間を占有のケーブルで接続してイーサネットプロトコルで通信するのが一般的
イーサネットのフレームフォーマット
1と0を交互に並べたプリアンブルというフィールドが付与される。
末尾11のSFD(Start Frame Delimiter)で終わり、以降はイーサネットフレーム本体。
ブリアンブルとSFDは8オクテット
フレーム本体の先頭に来るイーサネットのヘッダーは計14オクテット、宛先MACアドレスのフィールドと送信元MACアドレスのフィールドがそれぞれ6オクテット、データ部分で運んでいる上位層のプロトコルを表すフィールドが2オクテット。
1つのフレームに入るデータの大きさは46〜1500オクテットで末尾にFCS(Frame Check Sequense)が4オクテットある。
FCSはフレーム全体を特定のビット列(生成多項式)で割った余りを格納し、それが受信側でも同じになればフレームが正しく届いたと判断。
無線通信
無線通信の種類
IEEE802.11
IEEE802.11b, IEEE802.11g
IEEE802.11a
IEEE802.11n
Bluetooth
WiMAX
ZigBee
PPP(Point-to-Point protocol)
OSI参照モデルの第2層に相当する、1対1でコンピュータを接続するプロトコル
上位層に依存しないプロトコルがNCP
IPアドレスの設定やヘッダの圧縮するかのやりとり
認証方式
PAP(Password Authentication Protocol)
コネクション確立時の一回のみでIDと平文パスワードを送信
CHAP(Challenge Handshake Authentication Protocol)
毎回パスワードが変更されるOTPを使用して盗聴を回避し、通信中も定期的にパスワードを入れ替えてチェックを行う
PPPoE
通信回線をイーサネットであるかのようにエミュレートできる