理詰め
辞書的な意味では思考を理論によって進めること。
り‐づめ【理詰め】 の解説
思考・議論などを、論理・理屈で押し通すこと。「理詰めで追及する」「理詰めの論法」
ペンシルパズルにおいては、手筋や理論を用いて盤面の一部を確定させることを指す。
「何を理詰めと呼ぶか」
は人によって異なる。さらに、理詰めの定義をすり合わせる際に、
問題をどう解くか
複数の解き方のうちどれがエレガントか
も人によって異なる、という問題に行きつく。しかし、解き方の良し悪しを見分けることは2つの意味で難しい。複数の解き方のうちどれが最もエレガントか、という感覚は人によって異なるし、また、他人の解き方を良い悪いと品評するのは角が立つ。
以下、解き方の例をいくつか挙げる。時と場合によって、どの解き方が良いか考えてみよう。
これは、より良い解き方や問題を追求するための論点整理である。
最もエレガントな解き方のみを理詰めと呼ぶ。
ある程度エレガントな解き方を理詰めと呼ぶ。
エレガントさ以外の線引きを設ける。
その線引きに達していなければ、その解き方がたとえ手筋や理論を用いていて、論理的瑕疵のない解き方だったとしても、理詰めと呼ばない。
全探索(後述)よりマシな方法であれば理詰めと呼ぶ。
「マシ」が意味するところも議論の余地がある。
全探索も含めて理詰めと呼ぶ。
可能な限り理詰めで解く。理詰め以外で解いた場合でも、理詰めだけを用いた解き筋を探る。
どんな理詰めも使う。
以下のうち、使う理詰めと使わない理詰めを分ける。(使うもののみを「理詰め」に含め、使わないものは「理詰め」に含めない。)
全探索
「同じ盤面をnつ手元に用意し、考えられる状況をnつに場合分けして、それぞれ解き、一方が破綻したら他方に確定する」…☆
定義1: ☆で、nが解空間全体の解の数であるものを、全探索と呼ぶ。
定義2: ☆で、nがある程度大きいものを、全探索と呼ぶ。
仮置き
定義1: ☆で、n=2のものを、仮置きと呼ぶ。
定義1-1: ☆で、n=2であり、なぜその2つに場合分けするかが明快でないもののみを、仮置きと呼ぶ。
定義1-2: ☆で、n=2であり、一方が破綻することを脳内で追い切れないものを、仮置きと呼ぶ。
定義2: ☆で、n>=2のものを、仮置きと呼ぶ。
定義2-1: ☆で、n>2でnがある程度小さい場合は簡単にn=2の場合の繰り返しに帰着できるので、仮置きと呼ぶ。
ほか、☆で、n=2のものを、単純仮定、先読み、背理法、などと呼ぶ。 これらの解き方の呼び名は人によって定義が異なる。さらに、これらを理詰めに含めるかどうかも、人によって異なる。
さらに、理詰めに含めるかどうかと、理詰めのみを解法に用いるのかどうかも、別の議論である。
手筋
手筋についても、一部を理詰めに含めない場合や、一部を解法に使わない場合がある。
盤面から適用箇所を探すのは簡単だが、証明が難しいものを、解くときに使わない。
例:スリザーリンクの33
証明は出来るが、その証明が遠大であるものを、解くときに使わない。
例:へやわけの最密充填
証明は出来るが、その適用箇所を見出すのが難しいものを、解くときに使わない。
例:チェーンによる議論
ユニークネス
定義1: 「この問題が唯一解である」という情報を利用して解く。
理詰めだけではなく、感覚で解くことも容認する。(あるいは、以下の解き方のうち一部を理詰めに含める。)
ナンバーリンクなど、このような線が引かれやすいという傾向を用いる。
「理詰めお祈り」を用いる。手筋が成立するかどうか、それを証明しないまま適用する。
盤面以外から得られる情報も使って解く。
天体ショーやお絵描きロジックなど、絵が現れるパズルで、絵を想像して解く。
難易度や、作者の作問傾向から想像して解く。
問題につけられたサブタイトルから、浮かび上がる線などを想像して解く。
理詰めは全て拒否し、感覚のみで解く。
より速く解く。
ある程度厳密さを犠牲にし、理詰めと感覚を使い分ける。
使うと遅くなる理詰めは使わない。
作者が解いたように解く。
解き手が作意を想像しながら、それと同じように解く。
作者の解説をもとに、それと同じように解く。
自作問題を、作成過程を思い返しながら同じように解く。
より正確に作者の解き方を再現する。(記述問題で、一字一句模範解答と一致させることを目指す。)
作者の想定を超えた解き方で解く。
作者の想定に近づけることを目標にしてはならないという信念を強く持つ。
作者の想定を超えた、より良い解き方を模索する。
作者が解き筋をコントロールしきれないまま完成した問題に、「解き方」を与える。
自動生成問題など、「作者の想定」があまり無い問題に、「解き方」を与える。
作者が意図しなかったであろう部分から、面白さを見出す。
作者の想定を超えた、より悪い解き方を模索する。
特殊な理詰めを仕込んだ自作問題をソルバーにかけることで、想定した解き方でなければ非常に難しい問題であることを確認する。
各人による理詰めの定義
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