古代文献中に言及される色彩
from 絵画技法(紀元前)
古代の「四色主義」
赤、黄、黒、白
当時の最良の顔料
白はメリヌム[メロス島出土の白土]、黄土色はアッティカの黄土、赤はポントスのシノビス[赭土]、黒は黒色顔料atramentum
赭土(しゃど):酸化鉄を含んだ赤褐色の土
「不滅の作品をつくりあげる」とまで言われる
四色主義は実際に出土した作品と一致するのか
《ヘディステの墓碑》の場合は一応この範囲に収まる
茶色、灰色、オフホワイト、鮮紅
青はフレーム側の色
似た色彩の《狩猟図》
緑や青を含む
四色主義を説明できない
色彩の解釈を踏まえて検討する必要がある
四色を混合した色彩もありえる
「基本色」ととらえても、青がない理由を説明できない
絵具の減法混色:赤、青、黄(マゼンタ、シアン、イエロー)
緑は青+黄
すべて混ぜると黒
ここで「彩度の低い色」「彩度の高い色」の考え方が出てくる
彩度の高い色
オリエント地方産の高価な顔料であるらしい
パトロンが負担して提供する
青
アルメニウム(アズライト)
緑
孔雀石
朱
辰砂
インディゴ
紫
赤と青のバリエーション
彩度の低い色
その他
アース・カラー
「彩度の低い色」「彩度の高い色」に定訳がない
明るく輝く brilliant / 暗くくすんだ sombre
華やかな folorid / 厳格な austere
出典がギリシア語で、ラテン語に翻訳されたことで意味が微妙に変化している可能性
ラテン語はギリシア語と比較して、一つの単語に多くのニュアンスを含む傾向
ラテン語から近代語に置き換えられるとき
ラテン語では二つに区別されていた色、例えば、albus(白)とcandidus(輝かしい白)や、ater(にぶい黒)とniger(輝かしい黒)の語は、ラテン語を継承したラテン語系言語の語彙では一方が消滅し、一つになっていることもある
色の彩度に以下のニュアンスを含むとする
彩度の高い:明るく輝く / 華やかな
彩度の低い:暗くくすんだ / 厳格な
四色主義は「素朴な顔料で傑作を生みだす」「少ない色で偉大な作品が制作された」を含意している可能性
開発された人造顔料の豊富さと作品の質が必ずしも比例しなかった
紀元後1世紀には「作品の質<材料の高価さ」の傾向があった
財力面で制約がある一般市民の墓石である(=《ヘディステの墓碑》)ため
「四色主義が青を避けたとして、理由はあるのか」はかねてより議論の対象
仮説
濃い青色は黒(=アース・カラー)に近接するため
青や藍色は他の色と比較して色褪せやすく、後世で見当たらない、となるため