感受の仕方を規定する
第二次世界大戦の戦地にて没した若き画家たちの作品を集めた美術館
「戦争によって道を阻まれた無念の若き画家」という強烈なキュレーション(それぞれの絵画には生没年場所、出征年と、画家との思い出を語る遺族の言葉が添えられていた)
することによって、鑑賞者の持てる感情には一定の強制性が与えられていたように思える。
ー果たして私は絵画を観ていたのだろうか?
無言館という場所は、もちろん戦争を賛美している場所ではないけど、明確に戦争反対とも実はどこにも書いてなくて、個々の画学生の、我々と同じ生きていた若者としての「顔」を、淡々と紹介するだけの場所です。
もちろんそれに触れた鑑賞者は、反戦非戦の思いを新たにするだろうけど、あくまで
事実を淡々と紹介し、鑑賞者の側にある種の感情を起こさしめるという機序を考えれば、美術館そのものがひとつのミーメーシス芸術になっているとも言えるわけです。
ミメーシス(ミーメーシス):模倣して再現する
実は絵が果たす役割は、中心的ではあるけれども、決定的ではない
「巨大なコンテクストが感受の仕方を規定しており、そこで使われる芸術作品のレベル自体は中核的問題ではない」という構造の鑑賞体験
コンテクスト(コンテキスト):文脈、状況
いま考えていたのは、作品の力とコンテクストの力の差があまりにも大きいケースに於いて、起こり得る問題についてです。
特定の性質、立場は利用しやすい事実がある
バイアスがかかる
年齢
信仰
アウトサイダーアート
もし、違和感、乖離があるなら、あらためる必要がある
巨大なコンテクストがあろうがなかろうが、対象を客観的に観察し、ミーメーシスに徹する