灰色の詩 #3
#灰色の詩
2025/07/08 0:33
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私は睡眠に問題を抱えていて、たまに何も判断できないほどひどい体調で起床することがある。着替える服一つ選ぶのに右往左往して1時間以上かけ、それで授業に出られなかったことも何度かある。そういうときはあまりにぼーっと立ち尽くしてしまうので、まるでゾンビになったような気持ちだ。そこまでひどい日には、普段助けてくれるコーヒーもまるで役に立たず、何杯飲んでも、もともと強くない胃が荒れるだけだ。徹夜のほうがよほどマシ、というわけで、体調の良いときを選んで徹夜をするようになったりもした。
こんなふうに僕は起床のたびにたちの悪いギャンブルをやらされている。原因を突き止めたいところだが、あいにく大学病院の睡眠治療センターの医者も長い議論ののち、的はずれな対症療法を勧めただけだった。
そういうわけなので、私はこの「ゾンビのような体調」で起床したとき、さてその日1日をどのように過ごすべきか、という難題にいつも向き合う羽目になる。今のところ、アドレナリンで乗り切る他はない、というのが暫定の結論であるが、カフェインに頼ることもできない……というか、何杯もコーヒーを呷ってなお何の判断もできない、というところから話が始まる。
しかし、まったく不思議なことだ。この圧倒的な無力感の中において、私のもっとも内なる場所から湧き出る「何か」によってこそ、私が活動可能になるという、確かな自覚が芽生えるのである。そしてこの自覚は「ゾンビの日」以外には少しも表れない。
自らのうちに太陽を呼び出す。自らの意志によってのみ、眼前の世界との関わりを見出す事ができる。
詩だ、詩が必要だ。私のうちに薪をくべるような、燃え盛る言葉が。
こんな日の僕のために、専用の血液を用意しておかなければならない。