2025年8月『独学大全』読書会①メモ
参加者
まつど@matsudotsuyoshi
ヨシュア@f12qp
時間 19時~20時45分まで
メモ文責
まつど@matsudotsuyoshi
トーク内容はハルシネーションもあります。人間は忘れてしまう生き物なので、それも含めて記録するための文章であり、根拠の薄い言説もあるためご了承ください。
今回の読書会中に確認できた範囲
第1部 なぜ学ぶのかに立ち返ろう
<独学の足場を作るために>
第1章 志を立てる
無知くんと親父さんの対話1 学ぶことをやめない理由は何か
技法1 やる気の資源を掘り起こす「学びの動機付けマップ」
第2章 目標を描く
無知くんと親父さんの対話2 夢は巨人の肩の上で見る
技法2 学びの出発点を見極める「可能の階梯」
技法3 学びの地図を自分で描く「学習ルートマップ」
第3章 動機付けを高める
無知くんと親父さんの対話3 まずは1分間、勉強しろ
技法4 未来のミニチュアを組み立てる「1/100プランニング」
技法5 重い腰を蹴っ飛ばす「2ミニッツ・スターター」
第4章 時間を確保する
無知くんと親父さんの対話4 何を捨て、何を選ぶか
技法6 自分も知らない自分の行動を知る「行動記録表」
技法7 クズ時間を生まれ変わらせる錬金術「グレー時間クレンジング」
技法8 打ち込むためにトマトを回せ「ポモドーロ・テクニック」
第5章 継続する
無知くんと親父さんの対話5 挫折する人が考えること
技法9 怠けることに失敗する「逆説プランニング」
技法10 日課を習慣の苗床にする「習慣レバレッジ」
技法11 やめられない、続かないを資源にする「行動デザインシート」
技法12 独学の進捗と現在地を知る「ラーニングログ」
『独学大全』という本の位置づけについて
ヨシュア:一般的な自己啓発本は、いわゆるインテリ層は手に取らないが、この本の対象読者はそのような層にあるのではないか。
まつど:この本は、そもそも自己啓発本などしか読まない層に届けたいという目的に書かれている側面が強いと思っていたため(『アイデア大全』などは明確にその方向性がわかりやすい)、その視点は面白いと思った。
まつど:私は発売日に買って読んだが、大学では教育学を先行していたので、当時はその観点で批判的に読むことが多かった。今回は、現職の改善にも役立つという観点で読んだところ、素直に感心できたし、試してみる価値がありそうと思えた。
ヨシュア:行動経済学の流れを汲んでいる自己啓発本などは読んだことがあるため、この本の主張は読んでいて知ってると感じるものが多い。
ヨシュア:独学大全はちょうどLLMが流行る前の本なので、今出版されていたら、LLMの外部足場を活かすためのプロンプト付きだったかもしれない
ヨシュア:鈍器本、分厚い本ブームの先がけとなった本だなと。
まつど:この独学大全以降に様々な~大全が書かれていますが、そのうち、どれだけが今読んで価値があるといえるものがあっただろうかということは思っていて、『独学大全』に関しては5年経とうとしていますが、今なお価値があるといえるかも。『アイデア大全』(2017年)以降の大全的な本で読んでよかったなと思うのは独学大全と同じ出版社の入山 章栄『世界標準の経営理論』などはあるかなと。
まつど:そもそもこの著者(読書猿)は心理学や哲学がバックグランドの人で『アイデア大全』や『問題解決大全』から一貫して、その方面の技法(とくに心理学の知見)が適切に取り入れられている部分があり、催眠療法などは一般的には胡散臭さがあるため、なかなか知見が届かないところがあるとは思うが、そういった知識も応用方面で届けるという役割を果たしているのではないか。 私自身、読書猿さんの著作は旧ブログ含めて全部読んでいるが、
たいていのことはブログに書かれていたりするので、この本の技法をLLMで試したいときにプロンプト用に書き出すのが面倒だったら、ブログ記事を参考にするといいかも。独学大全の各技法がどのブログに対応しているかは、
くちなしさんの以下の記事を参考にするといいかも。
ぶっちゃけ、『独学大全』を精読するような人は、ブログ記事も一緒に読んでしまったほうがいいと思う。
まつど:あえて批判的に読むのであれば、やはり、独学という課題にアプローチするときに、各種の学問分野の知見が活かせるということが仮に正しいとして、そのうえで、技法として実践に応用できるものなのか。つまり、学問に立脚する知見が、その学問を履修せずに適切に運用できるのか問題はあると感じていて、心理療法にバックグランドがある言説だったり、行動科学に関する言説に関連する技法が、たんなる素人に実践可能なのかというのは懐疑的に以前は読んでいた。
私自身も参考文献を読んで、より深い理解を目指しても、それであっても、実際に実践までこぎつけるのは難しく、結局、かりに理解するために時間を使っても、実践は難しいので、どちらにせよ、この本だけで理解できない技法があってもしょうがないし、その存在を知ること自体に意義があるというふうに今回は思った。
今回の読書会の範囲なら「逆説プランニング」]などは私のような心理学方面の勉強をそれなりにしてきた人間であっても、この技法を使って対処しようと思えるかは難しいなと。落とし込むのが難しい。
技法1 やる気の資源を掘り起こす「学びの動機付けマップ」
まつど:私は学びの動機づけにそもそも特定の誰かのために心理学や精神医学を学びたいという初志があり、それゆえに教育学部に進んだ人間だった。よくSNSでは、誰かを助ける前に自分を助けろという言説があるが、動機づけというのは結局、呪いにもなる側面があるので、10年ぐらい自分の初志に基づいて学んだ結果として、とても苦しくなってしまった。
まつど:学習意欲も薄れてしまったし、どうしたらいいかもわからなくなったが、なんとか就職にこぎつけ、そちらでもなんとか適応して頑張っているが、最近は私にとって面白い物語が世の中にあるとして、それを読まずに死ぬことはできないなという信念を叶えるための学びにシフトし始めている(2015年以降)。単純に誰かのためにという願いから自分のためにという願いの乗り換え(電車のように)を行う意味もあるが、一方で、誰かのためという願いを捨てずに、自分の願いも叶える側面もあると考えていて、当初の理念の「影響の評価」(p.62)の観点でいけば、最初はポジティブに、最近はネガティブに作用しているが、かといってすべてをネガティブとして扱う必要もないという感じで自分のなかで無理しないように対応している側面はある。
ヨシュア:独学者が自分の動機づけに固執する側面があるがどう考えるか。たとえば、周りの人にマウントしたいという動機づけで勉強している人がいるとしたら。
まつど:そのような独学者にとっては、そもそもどんな動機づけに基づいて自身が学んでいるかを外部足場に書き出して、それを批判的に検討できるという意味でこの技法は評価できるのではないか。
動機づけには内発的動機づけと外発的動機づけに分類できるが、
学習動機の2要因モデルだと、「周りの人にマウントしたい」人の動機づけは「外発的動機づけ⑤自尊志向 プライドや競争心」に該当する。そもそも動機づけには様々なものがあり、内発的動機づけにせよ、外発的動機づけにせよ、どっちかが重要というわけではない。プライドのための学習に固執しているということを自覚する意味でも、どういう目的で学習しているかを書き出して分析してみる意義はあるのではないか。 まつど:この技法は教育学の教育評価の観点でも検討できる。
従来の教育評価が、教師が学生や生徒の評価を一方的につける教育評価のあり方から、学生自身が自身の学習行動や動機づけなどを評価して、改善していったり、コミュニティ内で他者を適切に評価することを通じて、他者との適切な情動知能を育むことを目指す教育評価へのシフトがあり、この技法も新しい潮流(といっても学校教育では2000年以降には取り入れられているもの)を汲んでいるといえるだろう。
教育評価については、『新しい教育評価入門』や『パフォーマンス評価入門:「真正の評価」論からの提案』あたりを読むといいかも。
技法2 学びの出発点を見極める「可能の階梯」
・経済学を学ぶうえでの、経済数学をどういうふうに学ぶかという話。
→統計学などをどれぐらい比重を重くして学ぶべきか。
・エンジニアとして働いていくうえで、パラシュート学習法はとてもよく分かるという話。現場にしかリソースがなく、入った現場で初めて知った知識を学んでいくのはあるある。
技法3 学びの地図を自分で描く「学習ルートマップ」
話したいことに関係していそうな章を選ぶ。
4章、5章あたりは関係しそう。2章もメンバー的に押さえておくとよさそう。9章と16章も読んで臨みたい。
章を選んだら、まとめページで内容を簡単に読んで、5日ぐらいずつで読んでいけば間に合いそう。
できれば、出典なども読む時間を作りたい。この本だけではなく、関連する本は目を通しておきたい。
日本語の本でも以下は読もうと思っている。
アウエルバッハ『世俗詩人ダンテ』
『ダンテ 文庫クセジュ』
米川良夫『ダンテと現代』
などなど本を並べるというか、そもそも教科書を一冊選んでそれを丁寧に読んでいくという方向だけでも、
学習ルートマップの技法の第一歩になる側面はありそう。
大事なのは、メタ認知で、そういったどう学んでいくかという方向性を意識的に制御していくための技法化であり、そういった習慣のことを、「学習ルートマップ」と表現することによって、夢想し、肥大化した学習意欲を、現実可能なものに落とし込んでいくことができるのではないか。私自身、計画倒れしがちな人間で、計画することを諦めがちなので、読んでいて身につまされるし、ちゃんと書き出して検討してみる価値はあるかも。
まつど:「可能の階梯」と繋げて考えるのであれば、たとえば、FGOからダンテの神曲など古典作品へ興味を持ったときに、
そのまま原典を読むというルートがその人に向いてるかという問題はあったりすると思っていて、入門書や、分かりやすく翻案した本で妥協してそれをまず読んでからというルートはありそう。
阿刀田 高『やさしいダンテ〈神曲〉』
チェ スン『ダンテの死後世界日記 地獄篇―超訳 小説で読む『神曲』 (超訳小説で読む「神曲」)』
まつど:「学びの動機付けマップ」に繋げると、たとえばFGOの奏章4のシナリオがダンテ『神曲』をモチーフにしているから、もっと理解したいという動機づけがあったときに、学習者のプライドだったり、自尊感情の低さだったりで、最初から難しいハードル(原典を読まなきゃ意味がない)を課してしまったり、どうせ理解できないからと読むこと自体を諦めてしまったりなどはありそう。学習のルートも検討せずに学ぶことを諦めがち、そもそも調べない学習者にとって「学習ルートマップ」や「可能の階梯」]という技法の視覚的イメージがもたらすものは、山登りのようなものが近いなと思っていて、このルートは大変そうなどと、事前にマップで調べるようなことを念頭におくといいかも。
まつど:私がブルーバックスで一番好きな『高校化学とっておき勉強法』のまえがきの化学の勉強法について言及がある箇所p.19に化学を学ぶことを山登りにたとえて説明している箇所があり大変好きなのだが、これも「学習ルートマップ」の視覚的イメージに繋がるたとえだと思う。
大川 貴史『高校化学とっておき勉強法―「なぜそうなるのか?」がわかる本 (ブルーバックス)
まつど:読書猿さんといえば、独学者には洋書の教科書を読むことをおすすめしている記事で有名。
私自身も英語の教科書を買って勉強するというのを10年ぐらい続けてきたが、正直きついなという気持ちもあったが、最近のLLMの興隆によって、むしろ英語の教科書で学ぶことはやりやすくなった。なんなら英語が読めない人でも、学習からエクスクルードしたLLMを使って、断裁した英語の教科書をスキャンスナップでスキャンして、OCRをかけて文字起こしした文章を英語翻訳させたり、文章ごとに設問をたくさん作らせて、それを外部足場にして読むなど、学習へのLLMの応用もやりやすい。
code:LLM
Please create a question that discusses this statement. Then answer each one. Sequential numbers from 1 to 10 for the questions. For the answers, number from ① to ⑩.
//*この文章について考察する問いを作ってください。その後それぞれ回答してください。問いには連番を1~10まで。回答には①〜⑩まで。
私は書籍の自炊はわりとやるが、VOICEVOXを使って読み上げさせたりができるので、電書化されていない本はそれで対応したり、電書化されていても英語だったりしたら、翻訳機かけてから読み上げさせたりして使っている。
正直、OCR環境は全然構築できておらず、最近はChromeブラウザのGoogleレンズに頼っている。
英語の教科書で学ぶのがいいか問題は、読書猿さんが日本語版のリストを作っているように、
別に日本語の教科書でもわりといい本があるのでそこまで固執するものでもないかも。
まつど:どういうふうに学んでいくと面白いかというのは以前私も以下のような記事を書いたりしたことがある。自分が面白いと感じるカリキュラム作ることが大事だという主張を持っていたが、学習ルートマップという技法もほとんど同じにも関わらず、主張として明らかに「学習ルートマップ」のほうが実践に繋がりそうな感じがして、やはり同じことを主張する際にもそのやり方が大事なのだなと。
技法4 未来のミニチュアを組み立てる「1/100プランニング」
code:LLM:
以下の学習ルートマップについて、
①「実現したいこと」を数値目標に変換してください。
②「実現したい」数値目標の1/100を小目標としてどのようなバリエーションが作れるか検討してください。
上記のプロンプトでGrokくんに聞いてみた結果。
1年あれば学べること/毎日それを飛び越えるための工夫とブックリスト
技法5 重い腰を蹴っ飛ばす「2ミニッツ・スターター」
まつど:この技法をかりに一年続けられたら、それはそれですごいことだと思う。私には難しいかも。
技法6 自分も知らない自分の行動を知る「行動記録表」
まつど:認知行動療法や行動科学の本を読んだりするともっと理解が深まりそう。
どうやって記録するかだが、今すぐ始めるなら、Googleアカウント持ってる人は、Googleスプレッドシートの新規作成>テンプレートギャラリーから作成>スケジュールを使って、とりあえず、あなたの一日がたとえ、生産的なものでなく、目を背けたくなるものだったとしても、記録することで外部足場を作ることが大事なのではないか。
技法7 クズ時間を生まれ変わらせる錬金術「グレー時間クレンジング」
まつど:独学大全の技法7でも紹介されている以下のブログの記事はわりとおすすめできる。
外国語の勉強時間の,効率的な作り方 (忙しい中でも学習時間を捻出するための時間術)
この方の別のまとめ記事などもかなり参考にして勉強していた。今となっては大分古い情報だけども、今でもそれに類似した学習リソース自体はネットにあるのでキーワードなどは参考になるはず。
大学の理工系の講義ノートPDFまとめ (数学・物理・情報・工学)
まつど:私だとご飯食べてるときや電車乗ってるとき待ってるときはタブレットで本を読んだりソシャゲの周回してる。昼休みはアニメをみるか、もしくは読書会の直前期であれば課題本を読むのに使ったり、グレー時間に学習へ役立てることはわりと意識的にやっている。今回の読書会もソシャゲのミニゲームをクリアしてガチャ石を集めながら、オーディブルの独学大全を耳で聴いてた。ソシャゲやめるのもひとつの手だがやめられない可哀想なひと(私のような)は、ソシャゲやりながら、たとえば読みたい本をオーディブルやVOICEVOXで聞くというのもありかも。
まつど:『数学に感動する頭をつくる』に、いつでも考えられるシンプルな問いを頭の中に入れて暇な時間があれば考え続けることが大事だと書いてあったが、課題の古典本などを以下のLLMのプロンプトで問いを作って、問いを丸暗記して、暇な時間に考えることが大事かも(独学大全のグレー時間クレンジングの実践としても)。
code:LLM
「~」を読み解くのに役立つ問いをたくさん挙げてください。
技法8 打ち込むためにトマトを回せ「ポモドーロ・テクニック」
まつど:私はあんまりよくないですけど、アニメみるときは、必ず専門書一冊開いて、適当に流し読みしてる。ちょうど25分ぐらいなんだよなとこの章を読みながら。とりあえず開いて何が書いてあるかとか、それぐらいのことは確認している。
技法9 怠けることに失敗する「逆説プランニング」
code:LLM
「逆説プランニング」はあえて失敗を経験して、変化しながら前に進む方法です。
以下の手順で行います。
私の目標は「(増やしたい行動を記載する)」です。2について考えてください。
1.実現したいことを目標にする(無理めの目標)
2.無理めの目標について、最小単位を考えて、 末尾に「~しない」とつける
後述する理由から、実現するのが難しいと感じている「無理めの目標」が望ましい。
3 逆説目標を失敗する
増やしたい行動が「読書会の準備のための本を読んで、読んだことを元に文章を書くこと」である場合の例
技法10 日課を習慣の苗床にする「習慣レバレッジ」
code:LLM
以下が私の日常行動です。
//*技法6 「行動記録表」技法7 「グレー時間クレンジング」の結果をここに貼る
日常行動を足がかかりとして、新しい習慣を身につけたいです。
行動科学におけるプレマックの原理を用いて、その手法について提案してください。
おすすめ文献
『認知行動療法事典』p.50あたり
三田村 仰『はじめてまなぶ行動療法』
技法11 やめられない、続かないを資源にする「行動デザインシート」
code:LLM
行動科学を用いて、介入策を検討します。三項随伴性や競合反応訓練を応用します。
//*ここにあなたの「ターゲット行動」と「ライバル行動」を記載する
//* 例 私の介入したい「ターゲット行動」は、文章を書くこと
//* 「ライバル行動」にはソシャゲの周回やアニメを観ることがあります。
定義
Y軸は上から順番に「ライバル行動」、「ターゲット行動」「改良されたターゲット行動」
・増やしたい/減らしたい行動や習慣を「ターゲット行動」
・「ターゲット行動」を増やす/減らすことの邪魔になっている行動を「ライバル行動」
X軸は左から順番に「行動(過剰/不足)」「きっかけの多少」「ハードルの高低」「ライバルの有無」「褒美/罰の連遅」を記載します。
「行動(過剰/不足)」の列は過剰な行動や不足している行動で変化させたい「ターゲット行動」と「ライバル行動」をそれぞれ記載します。
出力例
技法12 独学の進捗と現在地を知る「ラーニングログ」
私の場合だと、『旧約聖書』の読書会が年末に迫っているので、ラーニングログで記録したりしたほうがいいのかも。
次回読書会に向けて
日程:8月 23日 (土曜日)⋅午後8:00~