蝶翅に見る道
2019
学校のロッカーとプロジェクション
https://scrapbox.io/files/6520e18ece2743001bab82ea.jpg
https://youtu.be/nz-NGt0KxjE
中国の思想家である荘子はある時、蝶になる夢を見た。彼は心の赴くに任せていると、自らが荘子であることを忘れてしまった。ふと目覚めると、荘子は紛れもなく荘子であったが、荘子が夢の中で蝶になったのか、蝶が夢の中で荘子になっているのかわからなくなった。その後、彼が到達したのは、自と他、夢と現実、主観と客観などあらゆる分節や二項対立は実在の世界においては一体とするような境地であった。そして、彼はその実在のことを’ 道’ と呼んだという。様々な世界の夢を見るうちに世界と同化してしまった蝶。様々な世界の情報を共有し続け、現代に至るまでにインターネット とともにあらゆるところに浸透している映像メディア。蝶翅の微細な構造によって発せられる独特な構造色の光と映像の光は干渉し合いながら不思議な表情を見せる。そして、分節を否定する概念 と分節する誰かのロッカー。誰のロッカーだろうと思いながらも勝手覗いてしまう感じは、境界への意識を思い起こさせるが、ロッカーの中は世界と接続されている。