📄『Official令和ロマン【公式』】「松井ケムリ、故郷に帰る。」 - 青春ゾンビ
歩みとともに、ケムリの思い出語りが止まらない。夏休みの夕涼み会、小学生と遊ぶおじさん城田くん、ピロティと呼ばれる広場、塾の壁紙を破って塾長に怒られたこと、早朝の中庭の噴水にゲンゴロウがいたこと、クマ蜂が来ちゃう校庭の藤棚、スケボーで大怪我した坂、ランドセルに引っかけた給食係の白衣の袋を落としたこと、それを目撃していたのに教室についてから指摘してくる意地悪な同級生の女子、建付けの甘い溝端を踏んだ時の音、遊戯王カードが落ちてしまうベンチの隙間、上級生たちの綺麗な泥だんごを作るノリ、それに参加させてもらえなかったこと、コンクリの塊を打って管だけ散った木材バット、美味しくはないけど飲んでしまう公園の水、ベイブレードを強奪されて号泣していた同級生、交尾をしてウロボロスのように繋がっていたトカゲ、ipod touchで聞いたMr.Childrenの「終わりなき旅」と伊集院光のポッドキャスト、『軍鶏』全巻を立ち読みしたブックオフ・・・当時から、溝蓋に挟まっているなと思っていた木材が、今もなお挟まっていたシーンはなぜか感動的ですらある。エピソードだけを聞けば、どこにでもありふれているような平凡なものであるが、“取るに足らないもの”とされるがゆえに、意外と誰も語らない領域だ。しかし、この動画を観た者なら誰しも納得するであろうが、そういった語られることのない生活の細部にこそ、生命の躍動のようなものが、確かにある。これらのエピソードは松井ケムリという人間の“個“そのものであるし、その豊かさは彼の人間として”厚み“そのもののように感じる。たまプラーザの風景の豊かさが、松井ケムリという人間の豊さとイコールで結ばれているような気がする。川や鳥の名前をあんなにもスラスラと諳んじられる青年が、今この国にどれほどいようか。