バカリズム『ホットスポット』7~10話 - 青春ゾンビ
@clip from バカリズム『ホットスポット』7~10話 - 青春ゾンビ
バカリズムの筆致の大きな特徴は“照れ”だ。高橋が語る母の挿話や、“エロ介”などを例に挙げるまでもなく、感動的なシーンになりそうであれば、必ずズラす。重要そうなことは煙に巻く。
孤独なわたしが、うちら(=“わたしたち”)に拡張していくという実に感動的なシーンであるが、奢るつもりであった缶コーヒー代を請求するという高橋の器の小ささを披露することでバカリズムは照れてみせる。思い返せば、跳躍した高橋が月夜と重なるという衒いのない『E.T.』オマージュも、ビルからの跳躍という後半のスパイダーマン登場の伏線となっていて、ここにもオマージュを上塗りするような“照れ”を感じる。こういった“照れ”の筆致が、単純な心温まるストーリーを回避していて、それはどういうことかというと、複数の感情が同時に存在するという複雑な人間の心理を描くことができるということだ。秘密をすぐにバラしたり、放送できないような悪口を放ったり、モラルに欠けていたり、見栄っ張りだったり、かっこつけだったり、不法侵入という犯罪行為に走ったり・・・ある一定の視聴者にはそれが「登場人物たちの性格が悪い」ということになるらしいのだけど、それは人間というものへの眼差しが幼いとしか言いようがない。人間はバカみたいに愚かで愛おしい。このリアリティがあるからこそ、バカリズムが立ち上げる世界は居心地が良いのだろう。バカリズム大先生の何打席連続になるかわからないホームラン。傑作です。
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