集合知を活用した合意形成の新しいかたち
https://www.youtube.com/watch?v=Fya0P8YNCIM&list=PLHsuZp6_Tsv9NlzuJwDNqf7ezKkp6O9MU&index=2
Plurality Tokyo Namerakaigi #2
15:05-15:45 セッション2 集合知を活用した合意形成の新しいかたち
​Colin Megill、西尾泰和、結城東輝 (tonfi)。モデレーター: 青山柊太朗(blu3mo)
モデレーター:青山柊太朗
登壇者
Colin Megill(Polis 創設者/Computational Democracy Project)
結城 東輝 (tonfi)(弁護士/JAPAN CHOICE 共同設立者)
西尾泰和(エンジニア/サイボウズラボ/世論地図開発)
1. 各登壇者のプレゼン要点
Colin Megill
Polis=投稿と賛否ボタンだけで“集合的地図”を描く OSS。
13 年開発。台湾 vTaiwan などで立法前の論点整理に活用。
「社会を白黒二分でなく多彩な点群として映す」こと自体が価値。
代表制が抱える 議題の束ね過ぎ をほぐし、個別イシューごとに意見空間を可視化する。
Tonfi
Japan Choice+Polis 連携
スマホ向け政治アプリ(ユーザー計 100 万超)
2023 衆院選で 世論地図 β公開:消費税・原発など10問を深掘り→4,000人参加
参院選では規模拡大予定。 |
西尾泰和
Broad Listening の視覚化
世論地図開発。
Polis の PCA マップを改良し、党派アイコンも重ねて表示。「政党が代表していない意見グループ」の存在を示す。
600 議員の回答を可視化すると「同党内でも意見は異なる」「党内に過激派と穏健派の分断がある」が浮き彫り。
「党の境界を滑らかに溶かす」ことで個別論点ごとに最適な組み合わせを探る。
2. パネルディスカッションの焦点
1. 代表民主制と“束ね票”問題
現行制度は多次元の政策を 1 票にパッケージ ⇒ 意見のロス。
Polis は「一議題ずつ・大人数で・リアルタイム」に展開でき、既存政党が拾えていない空白領域を発見できる。
2. 意見強度の違いをどう拾うか
Tonfi: Quadratic Voting/Funding なら「100 クレジットを好きな論点に配分」し“強い賛否”を表明できる。
Colin: 100 → 1000 項目へスケールアップする研究は次のフロンティア。
3. 文化と自己主張
日本は「強い主張を避ける」傾向があり、Polis で大量の中間層が現れる。
それ自体がデータとして重要。
4. 技術実装とサイクル
可視化→議論→再測定を繰り返し、合意点が無い場合も「現状認識」として政策判断の材料になる。
3. Q&A ハイライト
正確な知識が前提か?
誤情報下での意見表明は?
情報リテラシー向上と意見集約は別レイヤー。
Polis はまず“ありのまま”を写す鏡。
後段でファクトチェックや再投票を重ねることで改善。
エヴァンゲリオンと Polis の関係?インスピレーション?
Colin:エヴァンゲリオン に出てくる 3 分割 AI「MAGI」の“自分の中の複数の声が合意する”コンセプトをヒントにした。
合意が形成されない場合は失敗?
可視化だけでも成功。
次のフェーズで再議論・細分化・政策設計につなげる“反復的プロセス”が肝。 |
4. まとめと示唆
Polis × 日本型実装:JAPAN CHOICE/世論地図は「UI を徹底的に易しくする」ことで10〜20 代の参加を大幅に獲得。
視覚化が生む気づき:党派アイコンを重ねると「党に代表されない民意の島」や「党内の亀裂」が一目瞭然。
次の課題:
1. 意見強度を扱う重み付き投票の大規模運用。
2. 膨大な論点を AI でクラスタリングし、反復的に議題設定。
3. 可視化→議論→制度還元まで回す行政/立法フローの設計。
結論:
Broad Listening ツールは「多様性を写す鏡」と「代表制を補う眼鏡」。
可視化と重み付けを組み合わせれば、政党中心の束ね票から“論点ごとの柔らかな連帯”へ移行する道が見えてくる。