正義の盲目性
To achieve fairness, these systems often deliberately discard a range of information, as dramatically illustrated by the blindness of justice in various personified representations in the European tradition.
例えば正義の女神がしばしば目隠しをしていることを言っているのかなcFQ2f7LRuLYP.icon 目隠しはそもそも剣と天秤の含意する正義には矛盾する付加物であり、当初はおそらく逆の解釈であったと考えられる。15世紀末に見られる木版画ではさしあたり嘲笑目的の戯画としての意味があった。1495年の木版画では、馬鹿者が正義の女神の目に目隠しをしている。シュバルツェンベルグは1517年のバンベルク刑事裁判令のなかで、全裁判官合議体に馬鹿者の帽子と目隠しを着せて「法に逆らい悪い習慣に基づいて判決を出す。これぞこの盲目の馬鹿者の生業なり」と書いている。目隠しについて長尾龍一は正義の実力的側面に着目し、「正義の女神は娼婦であり、戦いの結果が明らかになった段階で勝者の胸に抱かれる。また闘争が起こり勝者が入れ替わると新たな勝者の胸に抱かれる。正義の女神は腕ずくで押さえこまねばならない」点の寓意したものと解釈する。
目隠しの寓意する意味はゲーテの時代には「人物の名声を顧慮しない公正さ」に転換しており、目隠しをした正義の女神像が製作されるようになったのは法の平等の理念が生じた16世紀頃以降で、19世紀頃より目隠しをした像が主流になる。また目隠しを取った状態の、全体を見通して公正な判断を下す女神とされているケースもある。