戦略的補完性
戦略的補完性(せんりゃくてきほかんせい、英: Strategic complements)とは、複数均衡が存在する状況下において、各経済主体から見た場合、現状維持を選択することが自己の利益が最大化している状態を言う。... すべての人にとって自己の利益が最大化していて、いったんナッシュ均衡に至ってしまうと、そこから変わっていこうとするインセンティブが存在しない。しかし、社会的に利益が最大化しているとは限らない。ナッシュ均衡にPositive Spilloversがある場合、協力的均衡はもっと高いところにある。そのような時、ある誰かが負担と感じない程度のほんの少しだけ努力を増やしたとすると、均衡点はより高い協力均衡点へと移る。 戦略的補完性が存在する場合、乗数効果が存在し、自分の最適な行動も上がっていく。他人よりもちょっと努力することで、乗数効果で社会の均衡点が高いところに向かっていく。 gpt.iconナッシュ均衡と戦略的補完性は、ゲーム理論の中で異なる概念ですが、密接に関連しています。以下で両者の違いを説明します。
ナッシュ均衡
ナッシュ均衡は、複数のプレイヤーがいるゲームにおいて、各プレイヤーが自身の利益を最大化する戦略を選択し、他の全プレイヤーも同様に最適な戦略を選択している状態を指します。この時、どのプレイヤーも一方的に自分の戦略を変更して利益を増やすことはできません。ナッシュ均衡では、各プレイヤーは他のプレイヤーの戦略を所与として最適な選択を行います。ナッシュ均衡はゲーム理論の基礎的な概念であり、多くの経済的、社会的状況の分析に用いられます。
戦略的補完性
一方で、戦略的補完性は、プレイヤー間の戦略選択が相互に依存している状況を指します。つまり、一人のプレイヤーがある戦略をとることが、他のプレイヤーにとってもその同じ方向の戦略を取ることをより魅力的にします。この場合、プレイヤーの戦略は相補的であり、一人が行動を変えると、他の人もそれに応じて自分の行動を調整し、全体の均衡が変化します。戦略的補完性の存在するゲームでは、乗数効果によって全体の福祉が向上する可能性があります。
ナッシュ均衡との違い
ナッシュ均衡と戦略的補完性の主な違いは、ナッシュ均衡がプレイヤー間の相互依存関係を特定の均衡状態の観点から捉えるのに対し、戦略的補完性はプレイヤー間の行動がどのように相互に影響を与え合うか(つまり、一方のプレイヤーの行動が他方の行動を促進または抑制するか)を強調します。ナッシュ均衡は均衡点の存在を示すものであり、戦略的補完性はその均衡点に至るプロセスや動態を解析する概念です。
戦略的補完性がある場合、あるナッシュ均衡から全体としてより好ましい別の協力的均衡へ移行する可能性があります。これは、プレイヤー間で協調行動や相互作用が増えることで、個々の最適行動が高まり、結果として全体の福祉が向上する状況を示唆しています。